82 家族
「さて、自己紹介も一通り終わらせた事だし次は何故女神としてのミルが忘れ去られているのかと、俺とミルが異空間に飛ばされた理由について…」
「快晴、実はそれより重要な話があるの」
それよりって何だよ!?かなり重要だろ女神とパーティリーダーが異空間に飛ばされた理由って
まぁコイツは遮った所で聞く耳持たさそうだしなぁ…しょうがないか
「なんだよそれ。俺たちのこと差し置いて話すぐらいなんだから余程重要なことなんだろうな?」
「単刀直入に言うわ。レイは正当な王位継承者を引き継いだ王族だったのよ」
…んん?
「ちょ、ちょっと待て単刀直入すぎやしないか?…んん?つまり?レイは本来なら王都で好き勝手やれるお嬢様だったって事か…?」
「そうね」
「その事本人に伝えたのか?」
「はい。レフィに教えてもらいました」
いつの間にかレフィを呼び捨てするレベルの仲にまで至ったレイが頷く
「レイ、一つだけ俺に聞かせてくれ」
「なんですか?」
…これを言うとレイが少しだけ可哀想だが…
今後のためだ。我慢してくれ
「お前は俺達と王家の人間、どっちが大切なんだ?」
「ちょっと…そんな言い方は…」
レフィが俺に何か抗議しようとしているが言いたいことはわかる。俺だって別に好きで聞いてるわけじゃない。レイがどう答えても俺たちがその意見を変える理由も変える術もないのはわかってるんだ。
言い方が少し複雑かもしれないが、要は肉親と養親どっちが大切かって事だ。まぁ俺達はまだ出会って数週間だから養親にすら入るか怪しいんだけど…
「さらに詳しく言うと、レイが王族達に対して血族なんだと話せば今からでも正式に娘として迎え入れられ、裕福な暮らしができると思う。今の借金を抱えた苦しい生活と裕福に贅沢に暮らす生活。どっちが欲しい?」
「もうやめなさいよ。レイも困ってるでしょ?」
俺たちが話し合う間もレイは悩んでいた
「…私は……」
…
「私は…ッ」
…俺の周りの人間とかはどいつもこいつも優柔不断なヤツばっかだなちくしょうがよぉぉぉお!!
「レイ。お前は今度から人前でその能力を使うな。おそらく使った瞬間すぐバレるだろうからな」
しょうがないから助け舟出してやりますか
「…?」
…俺の言いたい事を察してくれる神様は居ないのか…?
「…あっそう言う事?快晴さんそこは照れてないで正直に言ってあげれば良いのにー」
本物の女神様が察してくれたけど毎回一言余計だなコイツ
「…能力を使わない限り今のレイはただの少女だ。こっちにdna鑑定の技術が持ち込まれていなければの話だが、能力を使わずに過ごしたらお前が王族だとバレることもないだろ?つまり…」
「つまり貴女が能力を抑制する限りは私たちと一緒に暮らせるって事!隠してもバレちゃうなら話は別だけど、別に今のところバレてないんだから無理に肉親の元へ帰る必要はないのよ!」
「てめっ良いとこ持ってくんじゃねーよクソ!!」
…まぁ、伝えたいことは伝わったから良いか。
あとはレイの本心次第だよなぁ。これで肉親の所へ、つまるところ王都へ戻りたいとか言い出したらもう止められないからなぁ…
「…私は」
「「「私は…?」」」
全員が静かに見守る中、レイが出した決断
それは………
肩凝りが酷い
奥歯が欠けました
もうダメだ




