77 脱出への糸口(終)
「よーし、そうと決まったら実際に行動に移しなさいよ!」
…やっぱり何も分かってないだろ
説明しないと俺の命が持たないな
「実はこのチートを使っていくにつれ気付いたことがひとつあってな?これ使ったら俺の体の一部が使えなくなるんだわ。言いたいこと分かるか?」
「わかります」
「おぉよかった。なら…」
「あなたの体とここの脱出どっちが大切なんですか?勿論後者ですよね」
「馬鹿かお前は!?もし俺がチート使ったら俺死ぬだろ?てかもう死んでるけどさ!?」
「そんな固いこと言わないでさ痛い!」
ダメだ一旦逃げよう。コイツに何されるかわからん以上そばにいるのは危険と見た
「っ痛いわねー…ってあー!逃げてないでさっさとチート使いなさいよねー!!」
「だぁぁぁあうるせぇぇえ!例えばだけどさ、お前がチート使って耳聞こえなくなったらどう思う?嫌だろ?だからついてくんじゃねえよ!!」
「嫌だけど耳が聞こえなくなるのは私じゃないのよ!だから!さっさと!チートを!使ってみなさいよ!!」
「だーかーらぁ!?嫌だって言ってんだろこのバカ女神!!」
「あっ酷い!私の言う事を聞かなかった挙句、私の名誉まで毀損するとは…なかなかやるわね…」
「何がだよ!!」
そうして揉み合う事数十分
「…わかった。試してみよう。見るからもうお互いやめよう?」
「そ、そうね…今日のところは私が引き返してあげるわ…無理言って悪かったわね…」
数十分お互い言い合う事でお互いの体力がすり減り、なんとか収拾がついた
でもまぁ不服だよね。なんせ脱出できるにしろできないにしろ身体能力の一時的な欠損は免れないんだから
「…にしても頑丈な空間だよなぁ…お前がなんか凄そうな魔法を撃ってきた時もびくともしなかったぞ…」
「私のパンチを受け止めるだなんて正直信じられないのよね」
なんか撃ってきたと思ったけどあれ魔法じゃなくて物理的に殴ったのか?…物理的に…?
…まぁコイツの魔法だか腕力だかはどうでも良い
「やってみるか。じゃあ行くぞ?」
「こんな空間、快晴のチートでコテンパンにしてやりなさい!」
そうして俺が覚悟を決めたその直後
「…何か地面が揺れてますけど」
「そうだね。揺れてますね。ちなみに言っておくが俺まだ何もしてないからな?」
「えっ…?あなたじゃないならこの地響きは誰の仕業なのよ」
俺も知りたいよと内心ボヤキながら空間全体を見渡す。特に変わった部分は…
「…快晴が今言いたい事私が代わりに言ってあげましょうか?」
「うん。言ってみて」
「この世界の空ってこんなに黒かったかしら」
「御名答!」
「御名答じゃないわよ!!最初は世界真っ白だったでしょぉ!?なんで黒くなってるのよ!!」
これは…気付いた時は気味が悪かったが、普通に考えたらこの世界が変化してるって捉えられるよな
「…もしかしかたら俺たち出れるかもしれない」
「根拠は?」
「んなもんねーよ」
「まぁ、待ってみる価値はありそうね。正直今私たちがやれる事って何もないんだし」
正確には俺のチートと言う選択肢があるのだが…言わない方が吉と見た
しかし女神の言っていることは別に何も間違っていない。今の俺たちがこの世界にできる事なんて特にないんだから指咥えて待ってる事しかできないんだ
「いやぁしかしこの世界も悪いことばっかじゃ……あれ?女神さん?どこ行ったんですか」
おかしい、ついさっきまで隣で一緒に体操座りしてたのに気付けばいなくなってるじゃないか
「おーいめがっ…てか名前聞くの忘れてた…」
そんな今更すぎる事を考えながら立ち上がったまさにその時
「あっ!快晴!!ちょっとこれどう言う事なのよ!?なーんで私までこの世界に来ちゃってるのよぉぉぉぉぉお!?」
辺りを見渡せば青い空と草原、少し先には転生した初日に見た、あの街が広がっていた
そう。気付けば俺は元の世界に戻ってきていたのだ。女神という特典を連れて




