69 その頃彼らは
皆さんごきげんよう。我の名はロック・ジェーンベルク。気軽にロックとでも呼んでくれ。
さて、本日我が向野とやまとを放って来た理由だが…
「今日は本当にいい天気ね」
「はい!お出かけ日和ですね…!」
…実は、レイが今日の朝、日も上がらぬうちからピクニックに行きたいと騒ぎ出して大変だったのだ。その時は付き添いができるやつも居なかったし、今の時期のピクニックというのは少しばかり危険が伴うので断ろうとしたのだが、見計らったようなタイミングでレフィが起きて「ピクニックぐらいなら私がついて行くわよ」なんて言い出す始末
たった今起きたお前が何言ってるんだ。てか何で寝てたのに話聞いているのだ。狸寝入りか?と思ったが、その時の我は少しばかり疲れていた。
そう。あろうことか我は己の惰心に敗れ、レフィにレイの付き添いをする事を許可してしまったのだ。
レフィは確かに強い。強いので周りに危害を及ぼす可能性がゼロではないのだ。もしレイに危害を加える者がいようものならそいつのいる空間ごと殺されてしまうだろう。
そう言った事情があり、今我はそんな慘劇な事が怒らないようにストーk…見守りをしているのだが
「あんまり遠くに行くと危ないし、今日はここら辺でお茶でもしましょうか?」
「わかりました…世界ってこんなに広くて綺麗なんですね」
今の所不安要素は見当たらない。今の時点でコイツらに話しかける輩がいないのだからもう安心して帰っても良いだろうか
「そうね。私たちの住んでいる世界はとても広くて美しく、時に儚い。そんな素晴らしい世界を壊さないために私たちは環境を守り、世界を壊す魔王軍を止めなければいけないのよ」
「なるほど…勉強になります」
ふむふむ。君達の仲間はつい最近まで世界を壊す側だったのだが、随分とボロクソ言うものだな。まぁ魔族である我に精神的ダメージなど効かないが
「…それで、木の影に隠れて何をしているのかしら?魔王の側近さん」
「…もうダメだ」
「!?どうしたんですかロックさん!」
我、絶対にバレてないと思ってたのにバレてたのか。流石に今のはダメージが大きいぞ…まさかこの魔法達が見破られるとは思わなんだ
「私の種族はドラゴンの中でも魔法を解析する事に特化した頭脳派のドラゴンなのよ。そこら辺の脳筋ドラゴンと私を一緒の扱いにしないでくださいね?」
「別にしておらぬわ…はぁ、まあ心配するだけ無駄だったって事だな。それじゃ、我はここの安全を確認できたので帰る。それでは…」
「一緒にお茶しませんか?」
…なんでお茶?
耳が痒い




