7 魔法取得への道のり
夕日が木々を掻い潜り、俺達を照らす中、泥と冷や汗で全身がゴワゴワになった俺は、結局レベルが上がらなくて少し泣きそうになっているやまとと一緒にギルドへと帰っていた
遡ること半日前…
「そういや、俺の自己紹介まだだったな。
俺は向野快晴。17歳で学生として日常を平凡に暮らしていた者だ。知っているとは思うが冒険者として登録してからまだ2日しか経ってなくて、クエストもやっていないのでレベル1だ。これからよろしくな」
「学…?よく分かりませんが、こちらこそよろしくお願いします」
「じゃあ、自己紹介も済んだことだし、クエストを受けてみますか。なんかオススメのクエストってあるのか?」
「オススメなんてものは特にないですが、今日出ているクエストの中で1番簡単そうなのはこれですね」
俺たちがやって来たのは街の10kmぐらい先にある草原
ここに居る牛数匹が手当り次第に体当たりをして来てくるため馬車などに被害が出ているらしい。
「なぁやまと、お前の魔法見せてくれよ」
「良いですが…とりあえずそこに居る馬車が通り過ぎるまで待ちましょう。そうでもしないとあの馬車が塵になってしまいますから」
平原に来たは良いものの、その時平原に誰も居なかったのが悪かったのか俺たちは牛数匹にヘイトを向けられてしまい、現在全力で逃走中である
「どうしてこんな時に限って馬車が大量に通るんだよクソったれ!」
「考えればすぐわかるでしょう!?私達が草原に入るのを待っていたのですよ!ぁあもう!」
マズイ。このままだと追いつかれて轢死エンドtake2まっしぐら…良し。あの能力使ってみるか
「やまと、お前はそのまま逃げていけ。俺はこの牛たちを何とかしてみるよ」
「えぇ!?カイセイさん今武器も何も持ち合わせていませんよね…?だ、大丈夫なんですか!?」
「だぁぁぁあうるせぇ!早く行けやゴルァァァアアアア」
未だチラチラ俺を見てくるやまとをフル無視し俺は目を閉じ
能力に全集中を注ぎこう念じた。
《目の前にいる牛たちよ、躓いて死ね!》
その瞬間牛たちは手前にあった小さめの石で足をくじき見事に仲間を巻き込みずっこけた!までは良かったのだが
勿論ずっこけてもエネルギーが失われることは無い
俺は牛と共に盛大にぶっ飛んで気を失ってしまった
「カイセイさんっ!!」
俺を必死に呼ぶ声でハッと目を覚ます
クエストを受けていた時高く天へ上がっていた太陽は既に地平線へと沈もうとしていた
「良かった…目を覚ましましたぁ…」
泣き声でやまとが俺に声をかけてくる
そうか、俺はこの子に心配をかけて…
そこで俺はふと気付いた
クエストを受けていた時の記憶がない事に
俺が牛とぶつかった箇所は腰あたりだから頭を打つ要因と言ったら吹っ飛んだ後石にでも頭をぶつけたのだろうか?
そう思い頭を触るも血もかさぶたも全く付いていない。
やまとはヤバい魔法以外は使えないはずだから治してくれたってのも有り得ないのか。
ならどうして…?
…能力を使ったからか?そういう事か!?




