51 賭け
方針を決めて歩き始めてから1時間ほど歩き続けただろうか
「なぁやまと、こういう旅ってのは危険が蔓延ってるものだと思ってたんだけど、案外平和で暇なもんなんだな」
「おそらく今は太陽の暑さで弱い魔物は活動ができなくなってるからだと思いますよ。もし仮に今ここで雨が降ろうものなら、もうそれは危険の種がわんさか出てきます」
…平和ボケって怖いわ。
この旅の間は雨は降らないでくれ頼むから…
…待てよ?これってフラグが立っちゃったんじゃないか?
「なぁやまと。俺が宣言する。今日は雨が降るぞ」
「何言ってるんですか。ガンガンに晴れてますよ?頭がおかしくなったのですか?」
「いや違う。これはフラグと言ってだな?こんな事は起きないでくれと声に出して強く願ったり、起きないと信じてやまない時は大抵起こるんだよ。つまり何が言いたいかわかるか?」
「雨が降るかもしれないと…?」
やまとの顔が真剣そのものになってる。
きっと本気で信じてるんだろうなぁ…迷信なのにばっかだなぁ…
まぁ俺も人の事言えないけどね
「まぁ、そんな感じ。俺の元いた国では「押すなよ、絶対に押すなよ」は押せの合図だとか言ってる頭のおかしい連中だっていたんだ。それも全てフラグが関係してるんだ。フラグは人と事情までもを歪ませるのだよ」
「ひぃ…」
この初々しい反応が面白い
「まぁ冗談はさておき、一つ賭けをしないか?」
「…何を賭けるのですか?」
おぉ、物分かりが早くて助かる
「お前は今日はずっと晴れてると予想するんだったな?」
「はい」
「もし今日中に雨が降らなかったら俺がお前の言う事何でも一つだけ聞いてやるよ」
「おぉ!!」
「当たり前だがその逆も然りだぞ」
続く長い沈黙
この沈黙がもしかしたら時間が止まったんじゃないかと勘違いするレベルで長い
そんな長い長い沈黙を破ったのはもちろんやまと
「わかりました。どう考えてもこの快晴が雨に変わるだなんて有り得ないので賭けに乗ってやりましょう!後になって後悔しても遅いですからね?」
「お前がな」
…あれぇー?
気付けばもう50話超えてる…
これからも100話越え目指して頑張ります




