48 お誘い
ギルドを出た後すぐロックは魔界に用事があると言って外出して行ってしまったので、俺は1人虚しく宿まで歩いて帰った
「俺が帰宅したぞー…帰宅したぞ?」
返事が返ってこないんだが
昨日みたいにソファに転がってるんだろうなぁとか予想してたのに肝心なやまと達がいないだと
いくら何でもおかしい
…夜逃げか?今は昼だけど
そんなくだらない事を考えていると、勢いよくドアが開かれた
ドアを勢いよく開けんなよ。ビックリするだろ。
「帰ってきてたのですね」
帰ってきてたのですねってなんだよ。そんな悲しい挨拶あってたまるか。俺そんな挨拶生まれて初めて言われたよクソ
「カイセイ、お願いがあるのですが…」
ん?
「なんだ?」
「一緒にギルドに行って討伐依頼を受けてくれませんか?」
「俺はたった今ギルドから帰ってきたばっかだぞなめんな。てかお前以外のやつらはどうしたんだよ。そいつらの方が強いだろ?」
普通に俺みたいなヘナヘナ頼らずに女子仲間頼れば良いのに
「レフィとレイは2人で森にピクニックに行きましたよ。私も誘われたのですがギルドに行かないといけないので断ってきたのです」
「なるほどな。つまり俺を雑用係にさせようと?」
「そんな事一言も言ってないじゃないですか!ただ単に2人で討伐に行くだけですよ」
俺もう疲れたから寝てたいんだけど
なんて言ったらぶっ飛ばされそうなので取り敢えず行けたら行くとだけ伝えて俺はソファに寝転がる
「行けたら行くって行かないって意味じゃないですか。行動が露骨すぎますよ!?いきなりソファに寝っ転がり始めて…」
なんかやまとがほざいてるけどガン無視ガン無…
…ちょっと待てよ?つまり俺は女子に二人きりで冒険に行こうって誘われてるってことか?
そう考えたら別に悪い物じゃなく感じてきた
俺はソファから瞬で起き上がり、やまとの方を向く
「よく考えたら俺そんなに疲れてないかも。よしギルド行こうか」
「いきなり意欲を出してきたら出してきたで怖いのですが?」
失礼だなこの娘
「お前俺を何だと思ってるんだ?着いてきて欲しいのか欲しくないのかハッキリさせろよ。そんなんだから彼氏ができないんだよ」
彼氏がいるかどうかは俺は知らないが、なんかいなさそうなので付け加えとくと案の定やまとの動きがピタリと止まった
「…カイセイは言葉一つ一つの攻撃力が重いから気をつけないと彼女できませんよ」
「そうかそこを直せば彼女出来るんだなアドバイスありがとさんよお!!」
煽りをカウンターされたので華麗に躱していく
「ほら、行くならさっさと行くぞ!」
「最初は否定して、途中で賛成したかと思えば煽り出して…貴方は一体何なんですか…」
「俺の正体なんてどうでもいいだろ。ほら、荷物まとめてギルドへGOだ」
本当に俺の正体なんてどうでも良いのでやまとに準備を早くするようにせかして宿の出口で待つ事10分。やまとが出てきた
「よし。カイセイのやる気が失せないうちにとっととギルドへ行きましょう!」
こうして俺と背中に荷物を背負ったやまとは共にギルドへと歩き出した
「…荷物ぐらい持ってください。そんな気遣いもできないから彼女が」
「うるせえなあクソ野郎がよぉぉぉぉおお!!」
やっぱり雑用係じゃないかクソッタレ
せかせかせかせか…




