38 不正規ルートレベリング
「なぁロック…?本当に俺こんな事していいのか…?」
ロックが瀕死になるまでコテンパンに潰した魔物を俺が殺すことでレベル上げをするという中々に狡いやり方で現在レベル8。これバレたら凄い妬まれそう
「問題ない。冒険者カードにもしっかり討伐者は貴様だと記録されているであろう?」
「それはそうなんだけどさ」
「なら問題はナシだな!フハハハハ」
それが問題ありまくりなんだよなぁ…
良心が痛むし、なんかズルしてる感じがして罪悪感が凄いし…
まぁレベルが上がるから何でもいいんだけどさ…さすがに死にかけの助けてほしそうな目でこちらを見てくる魔物を…いくら魔物とはいえ、手に掛けるってのは中々心にくるものがあるんだよ
「お、もうすぐでレベル10になるのではないか?」
「本当だ。今さっきまでレベル2とか8だったのに…」
嬉しい半面とても辛い
なんでこんな非人道的な事をこいつは軽々とやってのけるのだろうか?
答えは簡単
「そっか、こいつ人じゃねーじゃん」
「?」
俺の独り言にロックが首を傾げながら、眼前の魔物をどんどん屠っていく
うわぁ…
「…その若干、と言うか結構引いたような態度をとるのはやめてもらいたい。我も生き物なので心が傷つくという事はあるのだよ」
「ならこんな非人道的な事するんじゃねえよ…」
しばらく沈黙が続いたあと、ロックが答える
「いやだって我、人じゃないし」
「言うと思ったよ!この際言っちゃうけどさ、いまさっきの独り言の話題だってそれだよ!なんでお前は人じゃないからってそんなに酷いことが思いつくんだ?おっかしいだろ!」
そんな些細なことで口喧嘩をしながらバンバン敵を薙ぎ倒していく俺とロック
もう既に日はテッペンまで昇り、俺のレベルも10に到達していた
「…なぁロック。さすがに夜飯も朝飯も取らないでずっと動き続けたから休憩したいんだけど」
「そうか、なら休憩するか」
そうして俺は木陰の下に潜り、冒険者カードを懐から取り出す
「ロックー、攻撃的な魔法で覚えるべきものって何がある?」
「まずは相手の特定の動きを制限する『チェイン』と、身体強化魔法『セレブレーション』、あとは魔属性攻撃魔法『マーダー』みたいな感じだな」
「覚えるのはそれでいいんだけど、それぞれの魔法を魔力満タン時の俺がそれぞれ何回ずつ使えるかと、マーダーの能力を詳しく教えてくれ」
何となく名前で効果は分かるが、一応聞いておこう
「マーダーは相手に残っている生命力と比例して火力が高くなる光線系に属する対生物魔法だな。マーダーは魔属性なので基本人間は覚えることが出来ない物だが、我の姪からチートとかを授かっているであろうからおそらく大丈夫だ」
マーダーの効果以外は普通に何言ってるかちょっとよく分からないがまぁ相手が生命力で溢れている時はクソ高い攻撃力を持つ光線ってことだよな
「そして魔力に関してだが、ヒールは満タンで50回は唱えれるだろう。チェインは満タンで10回、セレブレーションは19回、マーダーは3回だ」
俺の魔力の量が平均とどれぐらい差があるのかわからんからなんとも言えないが、覚えておく価値はありそうだ。てかありまくる
「じゃあ覚えるぞ?…どうやって覚えるんだ?」
「……冒険者カードの中にある選択肢から選べ」
なるほど。
冒険者カードの中をスワイプしたりタップして今さっきオススメされた3つの魔法を習得した
…習得したハズ
「なぁロック、これでいいのか?」
「知らぬ、適当に使ってみれば良いではないか。今日使った魔力もその魔法程度なら明日には回復するだろうしな」
それもそうだよな
じゃあとりあえずセレブレーションを自分にかけてみるか
「セレブレーションッ!!」
…すごい体が軽くなった
「あれ、すごい体が軽く…やばい。今ジャンプしたら死にそう」
「死にはしないので安心せよ」
お前の死にはしないの加減が分からん
「ロック、今の俺でプリンツ倒せると思う…?」
ここまでやって死ぬことは無いだろうが、やはり少しだけ不安は残る
「…いくらお前がチート持ちの異世界人で魔法習得に縛りがないとはいえ、相手は魔王幹部だ。決して油断はできないぞ。これを聞いても貴様はあいつの決闘を受けるのか?」
「…もちろん」
「そうか…死にそうになったら逃げに徹して我の元に来い。無論我の方が彼奴より強いのでな」
「逃げに徹するなんて事態が訪れないことを祈るばかりだよ…」
明日の正午、俺はこの広い草原のど真ん中で決着をつける
実はプリンツは魔王幹部の中でも近接戦闘が弱い方と言う事実に少しだけ怯えながら、そして自信を持ちながら、俺は訓練2日目を終えた
肩こりが酷いです
すごい痛いです
この文を書いている時も「あ゛ぁ゛…」ってなってました。




