37 種族
「…吐きそう」
…だからあれだけ嫌だと俺は言ったのに…
「ロック。お前やっぱ馬鹿だ。言い出しっぺが”やっぱ我は腹が減っていない気がする”だなんて言うからお前の迷言はどうなるんだって言ったら勝手に責任感じ始めやがってほんとに食いやがった…明日のレベル上げどうすんだよ…」
昨日の夜、食事を取った後の会話である
今もロックは吐き気を催しながら木にもたれかかっている
「なぁロック、大丈夫か?」
「…大丈夫だったらこんなに我が寝込むはずもなかろう…」
それもそうだな。
昨日のロックの反応を見て流石に食べるのが怖くなった結果夕飯は取らない事にした
その結果腹が減ったのだが、レベリングしてたら食材なんてすぐ集まるだろ。
そう考えた時を唐突な違和感が襲う
「そういや俺、まともな武器ねーじゃん」
そうでした。使える魔法はヒールだけ、扱える武器は鈍器だけの俺だったわ
「なぁロック、この世界ってレベル上げないと魔法取得できないし、レベルを上げて得る事のできる魔法も固定されてるんだろ?」
「…それは違うぞ。そのような縛りが着くのは‘’この世界”で生まれた生き物だけだ。お前は異世界人なのでそのような縛りはない。ちなみにこの世界でたまに遭遇する‘’スキルを自分で選択できる時”というのは世界の一種のバグの様なものなのでスルーしてもらって構わない」
んん?
「じゃあ俺がレベルが上がった時に取得したヒールはなんなんだ?」
「ヒールは魔法戦士の初期記憶スキルだぞまぬけ」
俺は冒険者カードを地面にぶん投げた
なんだよこのカードややこしすぎるだろぶっ飛ばすぞ
もうぶっ飛ばしたけど
「…つまり俺は覚えることの出来るスキルを今は1つ、選べるって事なのか?」
「それは違う。基本的に扱える魔法はその人のステータスに依存するからな。まだレベル2でステータスが貧弱なお前では頑張っても中級魔法の中で1番弱い魔法ぐらいしか覚えれないわ」
じゃあなんでやまとはあんな禁忌みたいな魔法使えるんだよ
そんな疑問をロックが汲み取って答える
「ちなみにやまとは魔族と精霊のハイブリッドなので初期ステータスが異常に高いっぽいぞ」
聞き捨てならんことがサラッと聞こえたぞ
「魔族と精霊のハイブリッドってどういう…?てかお前は何でそう言う事を知ってんだよおかしいだろ。てかお前は魔族だけどその縛り?は課せられてんの?」
「我はこの世界と同時に誕生した魔族の始祖なので縛りはない。我は始祖のうちの1人なのでいろんな真実を知っているのだよ。ちなみに、縛りを作ったのは始祖の次男、今で言う魔王だ」
縛りを作るってナンデスカ
てか頭おかしいほどに強いんじゃないか?この世界の魔王って
「つまりお前は魔王の兄弟的な関係ってこと?んで、お前らのような始祖系はそんなイレギュラーな力を所持してんの?」
「うむ。もっとも、我らの長男が始祖系列の力を超次元に封印し、その封印の在処を教えぬまま自殺したので我らの力は全盛期に1歩も及ばぬがな」
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「ちなみに長男は人間種の始祖、次男は精霊の始祖、三男即ち我は魔族の始祖、長女は天使の始祖、そして次女は生態を生み出す能力を保持する大天使だ。ちなみに今そこら辺に溢れている魔物は、純血の生命体が他の種と交配した結果、次女の力と合わさって色んな穢れた種族が生まれた結果だ」
…なんてこったパンナコッタ
つまり?俺で勝てるような相手じゃないんだな?魔王は
よし、最終目標をスローライフに今すぐ変更だ
「貴様と話してある程度腹の調子が良くなったわ。よし、今から我がそこら辺の魔物を片っ端から瀕死にするので貴様はそれにトドメをさせ!」
「いやちょっと待て!!今はそれどころじゃないだろ!!?一旦状況を大人しく確認すべきだ!てか俺まだ1つ目の魔法覚えてないし!?おい待てって、引き摺るな痛い痛い。おい聞いてんのかクソったれぇぇぇぇえ!!」
ちなみに今日は私の親族の結婚式でした




