35.5 お茶会
今までの話はハイテンポ過ぎたのでコレからはローテンポで行きます
「あの、結局あの二人私たちを置いてそのまま行ってしまったのですが…?」
結局本当にそのまま行ってしまった二人にどうする事も出来ず、ただ呆然としている私たち
「でも私達は何も悪くないですよね!…悪くないですよね…?」
「お茶会をするとカイセイさんの前で言ってしまったのが悪かったのでは…」
レイが言っている通りだと思います
何で余計なこと口走っちゃったんだろうと今更ながら感じる
「あそこでロック達を止めようとしても無駄よ。あなた達の為に張り切ってるんだもの」
そう。そうですよ!私たちはむしろ喜ぶべきなのです
私たちの呪いを解こうと努力してくれるのは嬉しいのですが…
「そうですが…私は、ここに置いていくより、一緒に連れて行って欲しかったです」
「それはそうだけど…仕方ないじゃない。快晴もロックも、男だけでいる時間だって大切なのよ?多分」
そこで確信を持って言ってくれると安心できるのでありがたかったのですが
「…過去の事をどうこう言っても仕方がないと思います。ですから、今から私たちが何をするかを決めませんか…?ダメですか…?」
この子が1番大人なのかも知れません
「そうですね。いつまでも置いていかれた事ぐらいでクヨクヨしていては話になりません。レイ?何か案があるのであれば言ってご覧なさい」
さすがレフィさん!置いてかれたことを少し根に持ってそうな所を除けばとても大人っぽいです!
「私は、お茶会がしたいです」
「有言実行って事ですね!いいじゃないですか。3人で行きましょう!」
「あら、やまとが随分と乗り気ね」
今まで友達とか仲間が片手で数える程しかいなかったからずっと憧れてたとか恥ずかしくて言えない…
ここは少しオブラートに包んで言いましょう
「皆でお茶を飲みながら楽しく話をするのは楽しそうですからね」
我ながら良い出来!
「……いい思い出になるよう努力するわね」
「私も頑張ります…!」
2人に一瞬で悟られてしまいました
意外と2人とも洞察力が鋭いようで羨ましい
「とととと、とりあえず!どこでお茶会するか決めませんか?」
私はこの場の雰囲気を流すべく、どこでお茶をするかの話にシフトチェンジさせたのに…
「それに関しては私イチオシのお店があるから問題はなくてよ」
圧倒的即答で潰されちゃいました。悲しい
「…なら、そこに行きましょう!お金は私が出しますから」
「大丈夫?私が出すわよ?」
「いえ、カイセイと牛を討伐した時に得たお金を殆ど使ってないので一店舗ぐらいは回れます。私が奢るので大丈夫です」
ちょっとだけ見栄を張ってみる
「そう。ならよろしくね」
…張れちゃった
そんな他愛のない会話をしながら私たちはレフィのイチオシのお店に歩いていく
「あっほら、あそこにあるこじんまりした喫茶店よ」
趣があってとても綺麗ですね
趣といえばカイセイがこの前
「趣ってのはとっても大事な言葉なんだ。意味は知っているだろうが日常で感じることはあまりないだろう?それじゃダメなんだよなぁコレが。例えばだけど、猛暑日を抜けて少し涼しくなってきたら『あぁ、もうすぐ秋か』って感じるあの感じ。アレを日常から常に感じておくと日常が楽しくなるぞ。この世界は季節もクソも無さそうだから風流も趣も感じにくそうでとても生きづらいだろうけどなぁ……えっこの世界季節あるの!?」
みたいなこと言ってましたね
なるほど趣とはこう言う事なのですね
確かにこれは感じれたらとても気持ちいいです
「いい雰囲気ですね…私少しだけ緊張してきました…!」
レイが興奮気味に話しているのが愛らしい
「じゃあ入店しましょっか」
そうして入店し、席に案内して貰ったのですが
レフィのドレス姿が相まってとても似合っててすごい綺麗
「…初めて会った時から思っていたのですが、レフィが来ているそのドレスって何製なのですか?きめ細かい艶があって材質が素晴らしそうなのですが」
思い切って聞いてみる
「…これは…ドラゴンの毛皮を…ドレスにしたものよ」
汗を流し目を逸らしながらレフィが答えてくれた
…きっと何か本当のことを言えない理由があるのでしょう
ここ数十年ドラゴンの討伐はされてないと聞いていますし
「なるほど。いつか私もドラゴンの毛皮のローブを着てみたいです」
その瞬間レフィの顔がが青ざめた気がしましたが、たぶん気のせいだと思う
「そういえば、私たちまだまともに自己紹介をしてませんよね?もう今この場で自己紹介を済ませておきませんか?」
「良いわよ。じゃあ誰から自己紹介をするの?」
「「レフィさんからで」」
レイと被った。私たち相性がいいのかもしれない
「じゃあ…私の名前はレフィ。年齢は93歳で…」
「ちょっと待ってください!!」
なんでこの人そんな長命が当たり前かのように言って来るのでしょうか。と言うか本当のことなのでしょうか
「そんなデタラメな年齢有り得るわけないじゃないですか。あなた今ピチピチの20歳!みたいな綺麗な見た目してますよね…?本当は何歳なのですか?」
「バレちゃったら仕方ないわ…本当の年齢は1693歳で」
増えた
「色々あって長命種として生きています。職業は最高魔術師。趣味は編み物。これからよろしくお願いね」
レイが白目むいて倒れちゃいましたね
まぁ無理も…ない…?
「…もうあなたのそのデタラメな数値には驚きませんよ。強いて言うならあなたが最高魔術師だったと言うのには驚きですが…」
最高魔術師って魔術士の2つランクが上じゃないですか
神話でしか聞かないような最高〇〇系職業だなんて現実に実在するんですね…
「じゃあ次は私が…私の名前はレフィ。10歳です。好きな物は日常で、嫌いなものは非日常です。これからよろしくお願いします…!」
日常の定義が分からない分なんとも言えませんがきっと大事な事なのでしょうね。これからその日常を守れるよう頑張りましょうか!
次は私ですか
「私の名前はやまと。魔術士をやっています。これからよろしくお願いします」
特に言うこともないのでさらっと済ませました
「じゃあ皆さん。何頼みます?」
ツッコミを受けることもなくスルーされちゃいました。
「…じゃあ私は珈琲をブラックで」
「私も同じものをよろしくね」
「わかりましたっ!」
可愛さが天使ってやつですよね。おかしい
「レイに聞きたいことがあるのですがいいですか?
…あれ?レイ?なんで口パクなんかしているのですか?」
………あれえー!?
おかしいですね。声が聞こえません
[やまと!?何があったの!?]
!?
何故レフィの声はこんな鮮明に…?
[今は私が思念を飛ばして会話をしているの。そしてね、これを言おうか言わまいか迷ったのだけれど…]
…まぁだいたい予想はできますよ。耳が呪いで聞こえなくなったって事でしょう?
[…そういう事。ちなみにレイは左の肘から下が動かなくなったわ。思っていたより進行が早いわね…このままだとお茶会も何も出来ないわ。そこでなのだけれど]
はい。何でしょうか
[やまと、あなた好きな人はいるの?]
…えっ!?
いいいいいいきなりなんですか!?唐突すぎますよ!?
[呪いの真逆は愛という性質があるのだけれど、恋バナをすれば呪いの進行が収まると私は思う。やってみないと分からないわ。さぁどうする?]
…
私の…
[うん!]
私の好きな人は…
「 !!」
この話の続きは36話の次に出すと思います
皆さんは1話が短めのハイテンポorローテンポと1話が長めのハイテンポorローテンポ。どっちがいいですか?まぁ答えてくれる確証なんてありませんけどね!あはは




