30 幹部討伐
そうして幹部を待ち構えること数分
そいつは音もなく突然と姿を表した
「Bonjour?ドラゴンのお仲間さんと寝返り幹部さん。
まずは自己紹介と行こうじゃない?
私の名前はプリンツ。職業は魔女で魔王の幹部をやらせて頂いているわ。さぁ次は貴方の番よ。ドラゴンのお連れさん」
俺のことを言っているのだろうか…?
めちゃくちゃ怖いけどここは勇気を振り絞って自己紹介するか
「俺の名前は向野快晴。17歳で冒険職をやっている。職業は魔法戦士で…」
「やっぱり貴方だったのね!?最弱職でありながらロックを誑かして倒した…あぁ、私の恋しい可哀想なロックちゃん…」
なるほど、今はロックが容姿を変えてるから気付いていないのか
「…なぁロック。こいつって…?」
ロックにしか聞こえないような小さい声で質問する
「…自分で言うのもあれだが、あいつは我に依存している中々に頭のイカれた女だ。あいつの言うことは無視で良い」
なるほどヤバいやつって訳ですね
ロックはまだ生きていて、俺の隣にいるコイツこそがそのロックだって事は秘密にしておいた方が吉な気がする
「其方が何者なのかはどうでも良い。なぜ、私を洗脳し、こいつに戦うように仕向けた?」
「そんなの簡単よ。ここら辺にいる強モンスターの中で、1番洗脳しやすいのが貴方だったから。もっとも、2度目からは他のどのモンスターよりも困難になってしまうけどね」
ここでプリンツが一呼吸置き、今回の会話で1番重要な事を喋り始めた。
「私が貴方を洗脳して戦わせた理由、賢い貴方なら分かるでしょう?そこのヘタレ男を殺すためだよ」
シンプルに言葉がチクチクしてて悲しい
そんなに俺初対面なのに嫌われてんの…?
まぁそりゃ好きな男が…ロックは性別無いけど…殺されたって知ったら復讐したくなるよな。ただえさえこの世界は弱肉強食制が色濃く出てるからな
「じゃあお前は俺に死ねと言いたいんだな?てか殺す気満々だろお前。聞いたぞ?お前戦闘は雑魚らしいな。やるのか?お前幹部だから懸賞金とかかかってるだろ。俺が逆にぶち殺してやるよ」
「あ?」
調子乗りすぎましたごめんなさい
「それだけ言うだなんて、余程自信があるようね?さぁかかってきなさいよ。あなたに負ける自信は塵ほどもないわ」
そんな事言われて挑発されちゃあ俺も黙ってはいられない
俺はロックとレフィに耳打ちし…
「よっしゃお前ら一緒にあいつフルボッコにしよーぜぇぇぇええええ!!!」
プリンツに3対1を強要させた
「ちょ…あんた!卑怯だとは思わないの!?ふざけるなよこの…クソッ!」
「別にお前タイマンはろうとか一言も言ってなかったじゃねーかよバーカ。そこまで考えてなかった思慮の浅はかさがお前の敗因だなぁぁぁぁああ!!」
「クソッタレー!!」
俺達と幹部の鬼ごっこが始まった
「おい、お前!ずっと!逃げ回ってないで…!戦えや…」
やばい疲れた。もう家に帰って寝たい
もうモチベがゼロだよ。俺たちが何キロ追いかけっこしたと思ってんだしばくぞ…
「…あんだけ…ハァ…大口叩いて…?これだけなのね…ハァ…」
なんだ、相手も息切れしまくってんじゃんか
「お前も息切れしてるじゃねーかこのタコ野郎。こっちには人外が2人も居るんだよ。負けるわけないだろ。さぁ大人しく戦うぞ」
「…ちなみに、あいつってヒール苦手系のアンデッドだったりしない?」
「聖職側の魔女は一般的に魔術士等で呼ばれておる。しかしあいつは真反対の邪道。即ちアンデッド属性を有しているわけだ。つまり我の言いたいことは、もう分かるな?」
もちろん分かりましたよロック様ァ!
「これでも喰らえ!ヒールッ!ヒールッ!ヒールッッ!!」
「ぎゃあああああああああ」
情けない悲鳴をあげてプリンツの体の色がどんどん薄くなっていく
おっと、ここで相手にレジストされてしまったようだ
「…なんでお前レジストしやがった」
「死にかけの状態でレジストしない馬鹿がこの世にいてたまるか!私は最期はロックちゃんの攻撃で殺されると心に決めているのよ!だからこんな所では…」
「ヒール」
ロックの無慈悲で強大なヒールをかけられたプリンツは呆気なくドンドンと消えていく
いくら最終目標がロックに殺される事だとはいえ、正体をカミングアウトすらせず消滅させるのは可哀想じゃ…
「クッ…この強さ…もしかしてロッ………」
良かった。最後の最期でプリンツはロックの正体に気付いたようだ。最期、プリンツは会えて嬉しいかのような感情と死ぬ事への恐怖が混ざったような複雑な表情で体を完全に消滅させ、魔王の幹部という肩書きと共にこの世を去った
文字数を少しだけ増やしました
これで記念すべき(?)30話目です!




