27 変態とドラゴン
俺とロックはまともな装備も持たずに素手でドラゴンのいる場所へカチコミをすることになった
朝から出発したというのにもう午後の4時ぐらいだ。
どんだけ遠いんだよ!どんだけ歩けばいいんだよクソったれ
森に入ったけどなんか蒸し暑いし虫がいるしで地獄だよ。死ぬ…
一応俺は武器はある。あるが使えたもんじゃないぞ
アレはもうあれだ、鈍器としてしか使えないね
「ロックさんロックさん。素手で真正面からカチコミなんて事をせず、武器を持って裏から姑息に戦うべきでは…」
「何ィ?武器を買う金などもはや残っておらんわ。そんなことよりしっかり前を見て歩け。もうここはドラゴンのテリトリー内だ。いつドラゴンが襲ってきてもおかしくないぞ」
えっもうそんなに進んだんですか…
てかさ
「てかさ、今回の報酬はいくらなんだよ?ドラゴンの討伐って多分だけどアホほど難易度高いだろ?ギルドにいたレベルの高い冒険者ですらドラゴンって聞いた瞬間青ざめてたぞ」
「今回の報酬は30万ビットだ…借金に25万は取られるがな」
そんなもんなのか?
もっとこう…ドカーンと入ってくるものだと思ってた
「…なんか俺寒気してきたんだけど、これって俺が緊張してるせい?それともドラゴンの圧?」
「おそらく両方であろう。ほら、そこらかしこに喉を食いちぎられたドラゴンの死体が転がっているだろう?ドラゴンは自分の殺した動物は自分の巣の周りに置く習性があるのだ」
「つまり…」
「グッ ォオンッ!!」
俺の言葉を遮り、天から舞い降りてきたドラゴンが空気が、森が揺れるほどの大声量で威嚇してきた
あまりの鳴き声の大きさで途中からは耳では拾えないレベルへと達し、俺の鼓膜と気合いは粉々に砕け散った
だが、ロックはそれを見て
「おぉ!スカイドラゴンの、しかも古代種ではないか!何故目が赤色なのか、こんなものがずっとギルドに報告されていなかったのかは知らんが、これは大物だぞ向野!!」
目を爛々と光らせこちらに語りかけて来ている
…ハズだ。もはや耳鳴りで周りの音がほとんど聞き取れない
これはいつか治るだろう。鼓膜もヒールで治せばいいさ
「ッそうなのか?で、ロックにそいつは殺せるのか?」
俺の問いにロックは興奮した顔を隠しきれないまま
「当たり前だろう!例え殺せないとしてもこのような上位種の相手を他の人間にむざむざと渡したくはないので、無茶をしてでも戦闘はしていただろうがな。フハハハハハハハ!」
滅茶苦茶な理論を展開して俺に答えてくる
良かった。これは俺は眺めとくだけで終わるパターンですね
そんなこんなでハイテンションなロックとスカイドラゴンの戦闘は幕を開けた




