24 名前
「ちなみにさぁ、借金っていくらあるんだよ。それがわかんなきゃ返せる物も返せないだろ?」
「えっと…お母さんが死ぬ前に「あと130万ビット…」とか言ってた気がします」
「「130!?」」
はは、そりゃ大金だな…
「…なぁやまと?名前付けるのに金がかかるって知ってたか?」
「いえ、名前を付けたらその人が強くなるとかそう言うのもありませんし…そんな税金の制度があったんですね」
「じゃあ、名前も決めた事だしギルドに税納めに行くか!それと借金の事に付いても詳しく聞きに行くか」
そうして俺らはスタート街へと歩み始めた
「受付のお姉さん。この娘の借金を俺が肩代わりしちゃったから俺が借金を背負ってると言う形に編集してもらいたいんだけど良いかな?」
ギルドに着いた俺らは早速受付のお姉さんに質問をする
「…借金を肩代わりしたのですか?しかもその娘はかなりの借金を持っていたハズですが…」
「んな事は俺も知ってるんだよ!借金取りに俺が肩代わりするって叫んじゃったからもうどうにも何ねーよクソったれ!!」
そう叫ぶとお姉さんは苦笑しながら例の機械をゴソゴソする
「こちらが編集後の借金返済書ですが、これでよろしいでしょうか?」
「あぁ、問題ないハズだ。あっあと、この娘に名前をつけたから税金を払わないといけないっぽいんだけどどうすればいいんだ?」
「はい。税金なら奥の………えっと…?名前をつけたくらいで税金は取りませんよ…?」
「は?」
どういうことだ?
つまりこの娘の親は税がかかると嘘をついてこの娘に名前を付けなかったのか…?
「…そうですか。なら大丈夫です。ありがとうございました」
とても大きなモヤモヤを胸に抱え、俺たちはギルドを出た
「なぁやまと、これはつまりどういう事だ?この娘は嫌がらせで名前をつけて貰えなかったとかそういう類なのか?」
「一概に断りきれないのが気持ち悪いです…」
空気が重苦しい。レイの方を見ると顔を俯かせていて様子がうかがえないが、酷く落ち込んでいるように見える
そりゃショックだよな…親にありもしない税金がかかると嘘をつかれて名前すら貰えなかったんだから…
「なぁ、レイ。お前がその…親から名前を貰えなかったって言うのはとても腹立たしいことだし悲しい事だとは思う。だけど今のお前には俺たちという仲間がいるだろ?だから落ち込まず、これからを生きていこうぜ?」
なるべく相手を悲しませないように、できる限りのエールを送ったが俯いたままだ
ふとレイが何かをボソリと呟く
だが声が小さかったせいか上手く聞き取れなかった
「ごめん。なんて言ったんだ?」
次は少し声を大きくしてレイが
「…私は皆さんと…仲間ではなく家族になりたいです」
唐突なその告白に、俺だけでなくやまとまでもがその場で固まった
あれえー?




