23 まったり借金ライフ
「…なるほど。それでこの娘を連れてきたのですね」
あの後俺たちはなんとか借金取りを説得し、何とかいつもの草原に戻って来れたのだが…
「カイセイ。この少女がいくら可哀想だとはいえ、いくらあるかも分からない借金を肩代わりすると言うのは流石に無謀じゃないですか?」
そう。全くもってその通りだよ。この娘がいくら借金をしているのかが分からないのだ
「そうなんだよなぁ…借金額を聞き出したいんだけど、こんな熱心にご飯を食べられちゃ流石に途中で止めるのは申し訳ないというか…」
俺たちは今、毎日の食費やら風呂代やらこの前買った家代やらで手元に残った金はもう残すところ数千ビットとなっていた。そんな所に借金持ちの女の子が入り込んできたのだから食費とかも増えたりで借金背負ったりで色々悲しくなってくる
「カイセイ。この娘は身売りに出される位の額を借金しているんでしょう?つまり借金って結構多いんじゃ…」
「だよなぁ…ったくもう…」
そんな風に困り果てていた俺らを見た身売り未遂少女が
「すみません…いきなり冒険者様に飛び付いたせいで…借金を肩代わりさせてしまいました…」
いや…借金は別に働けばいいから問題ないんだよなぁ
命助けれたし?その純粋な身体を守れたからね
「いや、それはどうでもいい。お前が売り飛ばされなかっただけ良かったからな。それと、いい加減冒険者様だとかそこの少女だとかで呼び会うのは疲れた。だからお互い自己紹介しないか?」
そう提案すると少女とやまとはコクコクと頷く
ちなみにロックは「外界から銃を取ってくるので、半日ほど空けるぞ」と言ってどこかに行ってしまっている
「じゃあ、まずは俺からな。
名前は向野快晴。職業は魔法戦士で今んところヒールしか覚えてない。趣味とかは有るけど…お前らには理解できないと思うから言わないでおく。それじゃ次はやまとだな」
「はい!私の名前はやまと!魔術士です!
得意な魔法はフレイム・メテオライトで使える魔法もフレイム・メテオライトです!今後ともよろしくね?」
「じゃあ、次はお前だ。自己紹介をどうぞ」
「私はスタート街からやって来ました。父親はいつもお酒を飲んでて、1ヶ月ほど前に借金を残して病死しました。母は…その借金の返済が嫌になり自殺しました…借金を肩代わりしてもらったり、生活費を出してもらったりと迷惑しかかけれませんが…どうか一緒に住ませてください…」
スタート街とは俺がギルドに冒険者カードを登録してもらったあの街の事だろうか。
にしても重い。話が重い!
もうちょい軽く言って欲しかったな…と言うか
「名前は教えてくれないんですか?」
おぉ、やまとに先を越された。そうだよ。名前教えてくれないとなんて呼べばいいかわからんじゃないか
「…名前をつけるのにも税金がかかると言われて…私は名前が無いので、少女とか、そんな感じで呼んでください」
「嫌だね。俺が借金云々の前にまずその名前を付けるための税金を払って名前をつけてやる」
「えっ…?」
おっ、少女の瞳が輝きを帯びましたね
人には名前がないと不便だし、何より可哀想だ
金が払えないとかそんなクソみたいな理由で名前を付けないとかそんなことは俺はできない
「よし。今日からお前はレイだ。深い意味はない。けれど、名前は大事にしろ。そして自分を大切にしろよ?」
「…はいっ!」
年相応の笑みを浮かべてとても可愛らしいじゃないか
「これからよろしくな!レイ!」
こうして俺たちの借金返済ライフが始まった
I'm sleepy.
そういやまだ風呂云々を書いてませんでした
多分8.5話みたいな感じで途中にねじ込むと思います
12.5 初めての風呂
みたいな?




