117 帰ろう、街へ
「…えぇ?えっ、いやいや…どうするんだよそれ。笑って済まされる話じゃないだろ?」
「何言ってるんだ向野。別に性別が変わることなんて大した事じゃないだろ?」
「大した事すぎるだろ」
いや、何でコイツこんな平然としてられんの?俺が俺じゃなくなるんだぞ?
「いやさ、まだ100歩譲ってボタンを押したフリとか、押した後の対処法を知ってて押したならまだいいよ?何でお前笑ってるだけで何もしないんだよ」
普通にキレそうなんだけど
「カイセイ、体の方は大丈夫なのですか…?」
「あぁ、体に今の所異常とかはないし痛みとかもないな」
てかこれもしかしたら女神パワーでどうにかなるのでは?
と思ったが流石に一日に何回もダメージを受けていたら体がもたないので実際に会ってから話すことにしよう。もしかしたら詳しく話せば代償をチャラにしてくれるかもしれないし
「…まぁ、今から急いで帰ってあいつらに事情を話せばどうにかなるかもな」
「そうですね。でもその場合バイトが…」
「今借金のこと考えてたら本当に俺女になるからな!?マジで」
こうして俺らは元の街へ戻る事が余儀なくされたのだが…
遠い!!
やはり数十分で着く距離じゃないな。少し早めに歩いて数時間ってとこだな。まぁ来た時と同じぐらいって事だ
てか遠いことなんかどうでもいい!
明日寒波とやらが来るらしいじゃんか!
死ぬぞそれ!?
…まぁ、明日ぐらい引きこもっても誰にも文句なんて言われないだろう。勿論言わせないしな
「なぁやまと。お前この街に来るときに行ってたよな?明後日から寒波が来るって」
「そういえばそんな話もありましたね。そんな未来のこと考えてたらあっという間に女体化ですよ。急ぎましょう」
「そうだな急ごう」
俺たちの忙しなく、安定した旅はまだ始まったばかりだ




