107 展開
「…さて、ここら辺であれば展開した時に周りの迷惑にはならないであろう」
そうして私達が最終的に辿り着いたのは、私がこの世界に来た一番最初の場所だった
「ここなら見晴らしも良くていいですね!…それにしても、こんなところが丘になっているなんて知りませんでした…」
…話を聞く限りじゃ、この娘は親の持っていた借金のせいでろくな生活も送れず街から出たことがなかったらしいわ。そんな事になる程大きい借金を何も考えず肩代わりするところから快晴の優しさと頭の悪さが垣間見えるわね
「…そうだな。我もここは初めて来たがとても良いところだと感じる。さて、本題の簡易ハウスだが、この世にはいくつか種類があるのを知っているか?」
「そんなのどうでもいいわよ。だから早く展開してみてよ!展開!」
種類とか覚えても今ここにあるのは一種類だけなんだから次買う時があれば聞けば良いじゃない!
「……物によっては我死ぬんだけ」
「私の天敵であるあなたが死んでも私は痛くも痒くもないから良いわよ」
「……我もう疲れたから帰らせてもらうぞ」
「本当にやめて!…私が悪かったですすみません」
「…実は、簡易ハウスの種類によっては魔物を寄せ付けないために小型聖域を展開するものがあるのだが、まぁ大きさと形的にあり得ないので大丈夫であろう」
そう言いながら展開の準備を始めるロック
「それでは……」
『開錠』
…あれ?
「あの、展開されたのってコレだけなの…?冗談でしょ?ドアだけって…ねぇ、聞いてる?」
「…魔力が…超吸われて死ぬ…」
「なるほどね。まぁ別に今は死んでないんだしからの説明をして欲しいんだけど」
「お前は本当に、どうしようもないやつだな…さすが、自分を神だと名乗る人間だ…」
「私を偽物みたいに扱わないでよーー!!!!」
…ていうか、説明はまだなのかしら?
「…あの、ミルさん」
ん?レイちゃんから指名だなんてどうしたのかしら
「…ロックさんが魔力切れで気絶してます」
「…私とレイは聖属性だからロックに魔力を分けた方がダメージを負うし…レフィは根本的に何かが違うから…」
「何か…??」
「そう。何かが違うからあなたも魔力を分けちゃダメよ。それで、どうするの?このドアとロックは」
「私思ったんですけど!ただのドアが直立してるっておかしくないですか?」
「そんな事ないわよ!」
「確かに…えっ?」
別にドアなんだから直立してても不思議じゃないでし…
「…やっぱり。このドア、異空間と繋がってるんですよ」
………
…レイちゃんって物知りすぎて私が頭悪いみたいになっちゃうじゃない
「私達、思慮が浅かったわね…」
やめて、現実を突きつけてこないで




