96 期限
その後も既視感のある会話がずっと続いたのだが
うーん今になって嫌な予感がしてきた
とりあえずシナリオ?通りに会話するしか無いよなぁ…
「罪のない住民を磔にして、何が平和だよ!何処がだよ!?」
…ちょっと俺の知ってる主人公の口調ではないが問題はないはず。
「黙れ、隣町の者。口では何とでも言える。磔になってから飯が欲しいです!と嘆いても知らぬぞ」
ダメだ。あまりにも町長としての器が底辺すぎる
てか俺借金返し終えてないんだが
「…何様なんだお前。てか俺借金返し終えてないからここにずっといるとまずいんだよ!…おい、露骨に俺を避けるんじゃない」
逆ギレされた挙句自分が磔にしようと思っていた人間が予想より遥かにろくでもなかったことに驚いたのか俺のことを変な眼差しで睨んでくる
「何で隣町のただの住民である俺が捕まんないと行けないのかはわからないけどさぁ!?お前結局何なんだよ邪智暴虐の限りを尽くしてんじゃねーよクソ長がよおおおおおお!!」
…ふぅ、言いたいことは全て吐き出しました。後は奴隷として売られるなり何なりされるのを待つだけだな……本当に奴隷として売られたらどうしよう
「…おい、この無礼な人間を」
「なああああああああ!!俺にはまだ小さい娘がいるんです!せめて借金を返し終えるまで待ってくれませんか!?」
別にレイは俺の娘じゃないしある程度強いし何より王族の子なので心配することなんてほとんどないんだけどさ、やっぱ己の身は可愛いよね。心臓バックバク鳴ってる
「…お前、その歳で娘が」
「養子だよ!!いちいちツッコんでくるんじゃねーよ!!」
「…それはすまなかったが、その、借金はどれぐらいの時間があれば返せるのか?言ってみろ」
うーん。そういえばあの額の借金ってどれぐらい働けば返せるんだろ。一年…?いや三年…?
「…二年間ほどあれば」
「お前は私を舐めとるのか」




