95 違和感
欲しいものを探しに行くと意気込んで走って行ったやまとを遠い目で見送り俺もとりあえず町の方を覗いてみる事にした
この町は向こうと違ってすこし静かめなんだな。
こうして歩きながら何か物を買って遊んだとしても実際は一時間しか経ってなさそうなぐらい静かだ
こんなに静かだなんて何かこの町に異変でもあるのだろうか。まぁ静かすぎることそのものが異変なのだが
とりあえず書き込んでみればわかるだろ
「あの、ここの町ってやけに静かですけど、何かあったんですか?」
「…この町はね、昔は賑やかだったんだ」
ほう。まぁそうだろうな。いままですっと静かだった町とか住みたくないもん。鬱になるだろそれ
「ところが、最近町長が入れ替わってな、その時からこの町は静かになり始めたんだ。私達も町長のせいだと思ったんだけどね…」
いやその町長蹴飛ばして新しい人に変われよ
「もし町長が悪いと思ったのなら今すぐにでもつまみ出したほうが…」
「そうやって町長の悪いところを口にした者は皆磔にされたまま町の外に二日間何も与えず放っておく刑に処したんだ。それから私はおそろしくて夜も震えながらしか眠れなくて…」
寝とるやないか。
というか刑罰が軽すぎやしませんかね…?
磔にして二日間世話をされないだけだろ?
何と言うか、独特だなぁ…
「…自分コレからバイトがあるんですけど、それが始まる前にそいつに一言放ってきて良いですかね」
「やめておきなさい」
「何がやめておきなさいだこのヘタレが。何もなし得ることのできない人が何かに挑戦する人を止めるんじゃねーよ」
やまとは…まぁ時間になる前にはバイトの場所にいるだろ。あいつがバイトの場所知ってるかは別にして
「…てかこの展開どっかで見たことあるような…?」
そんな既視感に襲われながら俺は町を歩く
歩いて歩いて歩いた先に見てきたのはもちろん町役場
「おい!この町の平和を脅かすなんか変な町長がいるらしいじゃねーか!出てこいよ権力に縋るだけの雑魚がよおお!!」
「何をほざいているのだ。私は他人が信用できないだけなのだ」
他人が信用できな…他人が信用できない?
「ちょ、ちょっとま」
「お前に私の気持ちがわかるか?」
わからねーよクソ
てかこの展開さ、俺国語の教科書で見たよ?中学生の時に
「人を疑うのは正当な心構えなのだ…私とて処罰をポンポン下したいわけではないのだがな」
「お前何なんだよ。俺もうこの世界嫌になって来た。もしかして俺この後マッハ11で走らないと行けないのか?だとしたら辿り着いた瞬間お前の服を全部剥いでやる」
自分にできるのはそれぐらいだが、せめてもの抵抗を見せつけたい
「…そうか、つまりお前ははそんなやつなんだな」
「お前本当に何なんだよ」
向野は激怒した。必ずかの理不尽の異世界に文句を言わねばならぬと決意した。




