8、始まるイジメ
嬉しいこともあり、辛いこともあり……。
次の日から、由紀菜へのイジメは始まった。
それと同時に、美並ちゃんは私にベッタリで、
「香織ちゃん、香織って呼んでいい?うちのこと、美並でいいから♪」
って言ってきたり…。
答えはもちろん、「いいよ」と言った。
断るわけにはいかないんだから…。
そういうの断ったら、多分……イジメられるだろうね…。
由紀菜をイジメてる所にいるのが辛くなって、1人で教室を抜けることが多くなった。
その時は、いつの中庭へ言って、1人でそこら辺をうろうろする。
美並に、
「どこ行ってたの?」
って聞かれたら、
「トイレ」
って答えとけばいいし。
授業はちゃんとうけてるよ。
そりゃ、もちろん。
成績よくなりたいし。
「やめてっ…!」
今日の休み時間も、みんなで由紀菜をイジメてた。
「最悪~」
「何アレ~」
クラスメートの女子も男子もクスクス笑って、見てるだけ。
助けようとなんか思ってない。
私は、教室にいるのが嫌になり、いつものように、中庭へ行った。
「はぁ……」
「何ため息ついてんの?」
下を向いて、歩いていたら、男子の声がした。
誰だろ、って思って上を見てみると…
「翔ちゃんっ!?」
そこにいたのは、1つ年上の翔ちゃんだった。
「どうしたの!?何でここにいるの!?」
「そんなに、ビックリしなくたっていーじゃんっ」
「だってぇ」
翔ちゃんは、私が小学3年の時に、引っ越してしまった。
私の幼馴染でもある。
家がとなりだったからね。
「こっちにまた戻ってきたんだ。あ、家だけど、お前んちの隣だよ」
ニッコリ笑って言う、翔ちゃんは、カナリのイケメンだ。
また戻ってきたんだ…。
嬉しくて、顔がニヤける。
小学生のころからイケメンで、みんなから、キャーキャー騒がれていた。
背が大きくなって、顔も、男らしくなって…最後に会った時より、すごくかっこよくなってる…。
私が、翔ちゃんの事、じーっと見てたら、翔ちゃんは口を開いた。
「香織、可愛くなったな」
「え!?そうかなぁ…。翔ちゃんこそ、超かっこよくなってるっ!」
「ハハッ。じゃ、俺教室戻るね~」
「うん、じゃぁねっ」
今日はいい日♪
そう思いながら教室に戻ると、美並たちは、まだ由紀菜をイジメてた。
…由紀菜……ごめんね……。
助けたいけど、私には無理なんだ…。
「香織ー!どこ言ってたの??」
「あ、トイレ」
「またぁ~?」
「うん」
そう言って、自分の席に座る。
あんまり関わりたくなかった。
由紀菜のこと見ると、助けられない、自分に腹が立つから…。
腹が立ったところで何もできないし…。
だから、関わりたくないんだ。
続く...