6、裏切り
今年最後の作品になると思います。
次の章は来年、更新します。
────ピーンポーン────
今から、家を出ようとした時、ドアのチャイムがなった。
「はーいっ!!」
由紀菜かな、って思いながらあわてて、外に出る。
「おっはよぉ~。香織ちゃん♪」
…そこにいたのは、由紀菜じゃなくて、美並ちゃんだった。
ニコニコ笑って、私のほうを見てる。
「……お、おはよう。どうしたの?」
愛想笑いをして、私は言った。
「学校に一緒に行こうと思って。ね~、いいでしょ~?」
「え…」
「ねぇー。いいでしょ~?」
笑ってる、美並ちゃんが怖かった。
だから仕方がなかったんだ。
「う、うん」
本当は断りたかった。
由紀菜を誘って一緒に学校に行くつもりだったのに…。
美並ちゃんの前で堂々と由紀菜を誘えないよ……。
私は由紀菜を誘うのをやめて、しぶしぶ美並ちゃんの横に並んで学校へ行った。
学校に着くと、由紀菜はもういて…。
私にニッコリ笑ってきたように見えた。
美並ちゃんが教室を出たのを見て、私は由紀菜に近づいて、話しかけた。
「…なんで、今日一緒に行けなかったの?」
「…ごめん……。一緒に行きたかったよ。でも…美並ちゃんが向かいに来て……」
由紀菜の家の前をわざと通らないように、遠回りしたんだ…。
美並ちゃんって、そんなに由紀菜のことが嫌いなのかな…?
…犯罪者の…娘……
由紀菜は…確かにそうだけど……。
「そっか…。何で嫌ってるんだろうね、あたしのこと。あたし、なんか悪いことした?意味分かんない。嫌われることなんかしてないしっ!」
「由紀菜……」
由紀菜は、私たちが、犯罪者の娘と知ってることを、知らないんだよね…?
「香織ちゃーんー!ソイツと一緒にいたら、腐るよー?犯罪者の娘だし、何されるか分かんないし~」
美並ちゃんが、由紀菜を睨みながら、みんなに聞こえるように、大きな声で言った。
「……」
私は無言で美並ちゃんの所へ行く。
「香織…っ!」
ごめん、由紀菜。
私、美並ちゃんには逆らえないんだ。
…裏切ってごめん。
「香織!!」
「あ~あ、由紀菜。友達いなくなっちゃったね~。みーんな、アンタが犯罪者の娘って知ってるよ。誰も味方になってくれない。香織ちゃんだって、アンタのこと嫌いになったんだって~」
え!?
そんなこと言ってないっ!
私は言いたいけど、今言ったら、私もいじめられるかもしれないから、言えなかった。
「…そんなっ……」
由紀菜は涙目になって、床に座った。
…助けたい……でも私には無理……。
続く...
次の章は来年、更新します。
2010年もよろしくおねがいします。