3、不幸の始まり
続きです。
これがきっかけで……2人の人生が変わる…という、重要な部分です。
部活が終わり、由紀菜と待ち合わせをして一緒に帰っていた時、由紀菜が急に言い出した。
「あたしさぁ~。美並に嫌われてるような気がするんだよね~」
「えっ!」
由紀菜の口から出てくるとは思わなかった。
気づいてたんだね…。
「美並、なんか、言ってなかった?あたしの事嫌い、とか」
「えっ!」
「何よ。美並、香織になんか言ったんだ?」
「……」
言おうか言わないか、迷った。
「いいじゃんっ。言っても。別に、あたし美並に嫌われてもいいし~」
「え…あ…うん」
私は、さっきの事を一通り話した。
…私がグループに入らない?って聞かれたことも。
「えぇ!…香織は美並のグループに入るの…?」
少し、黙り込んじゃったけど、私は言った。
「悩んでる…。だって、私、由紀菜と一緒にいたいっ!…でも……」
「でも?」
「由紀菜のグループに入らなかったら、いじめられそうで怖い……」
「…そっか……」
由紀菜は困ってた。
由紀菜は私と一緒にいたいと思ってる…多分……。
私はそう信じたかった。
…私、どうすればいいんだろ……。
私が黙り込んでたら、由紀菜が口を開いた。
「どうするの?香織」
「え……」
分かんない。
私、どうすればいいの……?
……その時だった。
─────ドーン──────
私たちの歩いてる、近くの交差点で大きな音がした。
「あ!!由紀菜……人が倒れてる…」
事故だった。
車が、人をひいたらしい。
もちろん、わざとじゃないと思うけど…。
「ほ、ほんとだ……」
「大丈夫なのかな…」
怖くて、私は近づけなかった。
「あ……」
「どうしたの?由紀菜?」
由紀菜のほうを見たら、ガタガタ体が震えてた。
「由紀菜……?どうしたの?」
そういうと、我に返ったように、にっこり笑い、私に言った。
「大丈夫。あっ!あたし、もう帰んなきゃ。今日塾だったの忘れてた!じゃぁねっ」
そう言って、由紀菜は走ってかえっていった。
由紀菜?
どうしたんだろ…。
私は、事故現場に近づくのが怖かったから、遠回りになるけど、細い道を通って帰った。
「よかったぁ~」
家の中に入ると、母さんが飛びついてきた。
「母さん??どうしたの??」
「事故に巻き込まれちゃって…帰ってこれなくなっちゃったのかと思ったの…」
半泣きになって、かすかな声で言う。
ちょっとの間、母さんは私を抱きしめてた。
「母さん…大丈夫だよ」
そう言って、私は母さんを離した。
「良かったぁ…。大丈夫なら、勉強してきなさい~」
おい!
なんなの、もう!
…でも心配してくれて嬉しかった。
続く...