悪役令嬢の暇つぶし
公爵令嬢のレイラは暇を持て余していた。
学校は模範生のように振る舞い過ごしている。目に余る行為には目を光らせる。平民出の聖女は特に注意していた。決して虐めていた訳ではない。
そんなおりの休日。取り巻きもいなく部屋で過ごす。
「メアリーはいませんか?」
お茶を入れてもらおうと侍女を呼ぶ。しかし返事はない。彼女にも久しぶりの休日をあげていた。
「貴方は取り巻きがいないと何も出来ないのね」
頭の中で聖女の声がリフレインする。
そんなことありませんわ!今日は1人で街に出掛けてみましょう。
寮を出て初めて1人で街に繰り出す。お茶を飲むため喫茶店を目指す。
途中見慣れた人物を見つける。平民聖女のリアだ。彼女は少女に手を引かれ足早に移動していた。
下品です!明日しっかりお説教しなくては。それにしても何を急いでいらしゃるのかしら?
彼女達行動に興味を持ち後を追った。
先には大きな人だかり。かき分け中に入る。目の前には寝転ぶ男性の大人3名とリアが向きあっていた。
よく見ると男性は大怪我をしていた。リアが1人1人に回復魔法をかけて行く。
凄い。
シンプルにそう思った。そして自分が今まで彼女にしてきた行為が恥ずかしくなった。
「レイラ様」
リアに見つかってしまった。どんな顔をしていいかわからない。
「あら、ご機嫌よう。リアさん」
「レイラ様。お一人は珍しいですね。一緒にご飯食べませんか?」
屈託のない笑顔。私はそれが嫌いなの!でも。
「よろしくてよ」
何故だか彼女の申し出を受けてしまう。
彼女に案内された場所は孤児院だった。私は配膳を手伝わせれる。
やったことありませんわ。公爵令嬢を何だと思ってますの!
怒りながら笑顔で手伝う。私達もオマケで孤児院の食事を頂く。出されたのは硬いパンと水。酷い。リア。私に復讐している?
「レイラ様。今日はありがとうござました」
「良いのよ。今日は時間がありましたから」
「レイラ様を孤児院に連れ来たのには理由が有ります」
「なんですの?藪から棒に」
「孤児院はお金が足りてません。公爵家から援助を出していただけないでしょうか?」
この子。何処までも聖女なんだわ。
「我が家のメリットは?」
ただ援助するだけでは意味がない。
「将来、公爵家の労働力としてお使い下さい」
「良いでしょう。お父様に進言してみます」
「ありがとうございます」
私のリアの見方が少し変わった。彼女の方が王妃には相応しいかも。でも。
「ふん。明日も厳しく行きますよ!」