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モビレの砦③

「はぁ、はぁ、ああいい運動したわ。こんなに笑ったのは久しぶりだわ。もうルカ頭真っ白になってるわよ」


隣に寝転がっているルカに向かって笑いながら言った。

他の兵士たちも雪の上にあおむけになって横たわっていた。


「誰のせいだよ。たくよう俺ばっかり集中攻撃しやがって、ランドお前もだぞ、俺に恨みでもあるのか?」


「そうだな、最低でも両手で数えきれない程度には恨みがあるな」


「なんだと、毎回俺がどれだけお前に尽くしているのか今夜枕元で語ってやってもいいんだぞ」


「今夜はゆっくり寝たいんでな夜這いはごめんだな」


「同感だ、俺も昨日は徹夜だったからな。そうだ、それより、マル―シャお前本当に戻ってきて大丈夫なのか?」

ルカの一言でほのぼのしていた雰囲気が一変で凍り付いた。


「おいルカ」

あわててアルが言ったがルカは平然ともう一度言い直した。


「俺、お前じゃねえからお前の心の痛みはわかんねえけどよ、少しでも俺にできることがあるなら言えよな、ここは都じゃねえから宝石とかは買ってやれねえけどよ」


ルカはルカなりのこれが優しさなのだろう。

マル―シャはガバッと起きるとお腹を押さえて言った。

アルが慌ててマルーシャの顔色をうかがうように近づいて言った。

「どこか痛いのか?」


心配そうにのぞき込んでいるアルにマル―シャは笑顔で言った。


「それがねアル…私…大丈夫じゃないことが一つだけあるのよ…だから欲しいものがあるの」

マル―シャはチラッとルカを見たかと思うとニヤリとした顔つきで一呼吸おいて言った。


「あのねルカの朝食が食べたいわ」

「朝食?」

アルが首を傾げて聞き返した。


「そうルカの朝食よ、だってルカいつも三人前食べるでしょ。今日は私の朝食用意されていないでしょ。だからルカが食べる分の内一人分を私にもらいたいなと思って。私今朝は何も食べていないのよね。だからお腹と背中がくっつきそうなのよおー」


マルーシャが言うと、周りからいっせいに笑いがおこった。アルは急に立ち上がると叫んだ。


「それは大変だ! おい大至急我らのお姫様にありったけの朝食を用意しろ、ルカには一人分でいいからな」


そう言うとアルはまだ座っているマル―シャを軽々抱き上げると、お姫様抱っこしながら砦に向かって歩きだした。


「おい! 冗談きついぜ! 俺が何したっていうんだよ。俺の唯一の楽しみを奪うつもりか! コラ待てよ!」


その日、ルカのお腹のなる音と共に愚痴が夕食が出されるまでモビレの砦に響いたのだった。



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