異世界転生小噺
俺tueeeeeeに飽きたので書きました
この度ある中世ヨーロッパ風の異世界に何の因果か一人の転生者が紛れ込んだ。その転生者は、何やら深い闇を抱えている様だった。私は退屈凌ぎにその転生者を眺めていくことにした。
私の名前は×××。一柱のしがない神だ。神だからといっても常に人々に付き合っている訳では無く、稀に長い休暇のようなものが与えられるのだが、神と言ってもただの一介の神風情に、趣味などという高等な物も無く、これといった娯楽も少ないため、これが暇で暇で仕方がない。私が管理しているこの世界の創造神なぞは酒池肉林の日々を過ごしている。
これは神性ポイントといって神の世界でのみ使える通貨おかげなのだが、これを稼ぐ方法は三通りほどある。
一つは私のように世界を運営している創造神の世界を管理し、一定のノルマを達成する信仰を世界から絞り上げること信仰は神性ポイントになるので利益率はとても良い。
もう一つは世界というものは誰でも簡単に持てるのでこれを使い神性ポイントを稼ぐ。これはその世界の住民からの信仰が収入に直結するので稼ぎも良いのだが…なんせ初期投資がでかすぎるので私の様なそこら辺にゴロゴロといる神では当然手が届かない。
なのでせっせと世界を手に入れるために副業で願いを叶えるバイトも最近始めたのだがなにせ人間の負の感情は見ていてとても良いものだから、その願いの叶え方も自由なので【可能な限り悪意のある形】で叶えている。
偶に転生したいだの馬鹿げた願いも来るがそういう輩を絶望の底へ突き落とすことほど楽しい事は無い。
「ほうほう…なかなかに面白い転生者じゃないか」
転生者の前世を覗き、微かに私の口角が上がるのを感じる。なかなかに私の性格も腐っているものだ。
「転生者○○○○…前世はこれといった特徴の無い生活をしていたが、異世界転生系の小説に憧れ、無双したいと思っていた矢先にある日突然トラックにはねられて死亡か……ククク良いこと思い付いたぞ!」
となれば先ずは、転生者の観察から始めるとするか。
どうやら転生者は、帝国領内の森でひっそりと暮らしている異民族の集落に産まれたようだ。この部族は原始的な神を信仰していて、シャーマニズムが盛んで、そしてそのシャーマンの家系に次男として転生者は産まれて、シャーマニズムの儀式に使う麻薬を部族の秘薬か何かと勘違いしているようだ。
「さて、どうやって料理してくれようか…」
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観察を続けていると転生者のいる部族は、シャーマニズムに麦角由来の麻薬を使っているようだ。ここに一工夫入れたいと思う。都合よく転生者は、集落から出て、行商人になろうとしている。
「コイツに麻薬を売らせようか…運よく薬としての効能はあるらしいな…」
麻薬を売買するのはシャーマンの家系なので、お告げという形で憑依して信憑性を高めることで誤魔化すことに成功した。
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俺の名前はジャンゴ 前世の名前は落合陽介落合陽介
森の奥深くに住んでいる部族の男だ。
ようやく最近になって神様のお告げだかで集落から出て行商人になれるようになった。
ようやく長年の願いだった転生も出来た。
そして俺の夢はでっかく前世の知識で無双してハーレムも作って一生何不自由ない生活をする事だ。
その足掛かりに行商人になった。
売り物は集落で使っていた秘薬だ。実はただの小麦粉なのだが、集落では儀式の時によく使われていた。まあ薬として近くの村の何人かから金を騙しっとってやるぜ!
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なかなかに私に負けず劣らずの腐った性格をしている転生者のその後は急な仕事が入って見れていないが
一人の怪しい男が火刑になったそうだ。
その男の故郷の集落も焼かれて今は何も無いらしい。
そしてその前後に麦角による飢饉で近くの村は廃村になりましたとさ
めでたくなしめでたくなし
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