第79話 ケモズ共和国攻略編 宴~半島団結の話~
思う存分食べ散らかして満足そうな顔のベミーが、
壁際のソファーでくつろいでいたので話をしに行った。
ベミー以外の〝十牙〟は全滅したと聞いたので労った。
「いや、もう会えないのはさみしいけどさ、
俺たちは死ぬまでが仕事だから。
あいつらは最後まで仕事しただけなんだ。
俺もいつかあいつらの元に行くからさ、
それまで会えないだけで悲しくはないよ」
涙目じゃん。
ただ根っからの戦闘民族という事は分かった。
さしずめ狂戦士化はスーパーサ〇ヤ人ってとこか。
ちなみに狂戦士化が出来る獣人は〝十牙〟の中でも3人しかいなかったらしい。
ベミーは力の制御が出来ないから数には入っていない。
「ていうかあの力を制御出来たら無敵だろうに。
一体どんな奴にやられてしまったんだ」
「あれは命を縮めるんだよ。あんまり頻繁に使えないんだ」
ベミーと話していると羊人族の少年少女がやって来た。
二人はジヌトとプティと名乗った。
「この二人がラツカ村まで走って文書を届けたんだ」
そうベミーが教えてくれた。
二人とも緊張している。
「そうか。よくやったな二人共。怖かっただろう」
「は、はい」
「二人のおかげで国は救われたんだ。本当によくやった」
「あの、あ、握手して下さい」
「いいよ」
俺は差し出された手を握った。
俺になんか緊張しちゃって。
ていうか子供を見る感覚だったけど、この二人と年齢あんま変わんないんだよな。
戦勝会も終わりに近づいた頃、俺はウテル王に呼ばれ、二階の席に移動した。
二階は吹き抜けになっていて、下のパーティーが見下ろせる。
正面の席にはウテル王、アーキャリー姫、王妃。
俺の隣にはダカユキー、リンギオが座った。
「オスカー王子、改めて今回の件、感謝致します」
3人は深々と頭を下げた。
奥さんは小柄で品のよさそうな雰囲気で、あまり喋らない。
3歩どころか5歩くらい下がっている感じだ。
「いえ、困った時はお互い様です」
「ああ、何と言う人格者。私も見習わなければなりませんな」
「ウテル王、それで話というのは?」
徐々に笑顔が消え、ウテル王は真顔になる。
なに、やめてよ。緊張するじゃない。
「我々は数年前からザサウスニア帝国と二国間会談を進めてきました。
彼らの要求は、まぁ簡単に言えば属国になれ、です。
さもなくば攻め入る、と脅されました。
そしてついこの間まで、我々はその条件を呑むつもりでいました」
沈痛な面持ちの王に俺は同情した。
ザサウスニアとケモズ共和国ではかなりの戦力差がある。
全面衝突すれば三日も持たないだろう。
「……今は?」
「今は断るつもりです」
「しかし、断れば……」
ダカユキーは険しい顔で口を挟んだ。
相変わらず髭濃いね。
「ええ。我が国は滅びるでしょう。今回の魔物の襲撃でも大打撃を被りましたしね。
ですのでオスカー王子、お願いです。
我らをキトゥルセン王国の傘下に入れて頂けないでしょうか?」
そういう事ね。なんとなく分かってたよ。
「それはザサウスニアと戦えと言っているのか?」
リンギオ、そんな喧嘩腰で言うな。
「お言葉ですが、ザサウスニアはキトゥルセン王国を攻めるつもりです。
そのために我々、そしておそらくイース公国を侵略しておきたいのでしょう。
ダルク、ノストラ、ウルエストと次々と吸収して、
今のキトゥルセンはかつてないほど強大な国になりました。
ザサウスニアにしてみれば半島が団結しては厄介だと考えているのでしょう。
私は逆に半島が団結し協力し合えば、ザサウスニアと対等に、
いやそれ以上の国力になるのではないかと期待しています。
……オスカー王子、どうでしょうか?」
「いいよ」
「軽いな!」
お、リンギオが突っ込むなんて珍しい。
ウテル王と妻子はよかった、と安堵の表情だ。
「では我らの戦士団をキトゥルセン軍の正式な兵士として献上致します。
そうですね、ベミーにでも率いてもらいますか」
え? 大丈夫、あいつで? てか展開速いな。
「それともう一つ。ザサウスニアが要求してきた中に、
我が娘アーキャリーをザサウスニアの王族と婚姻させよ、というものがありました。
断れば命を狙われるかもしれません。
ですので親としてはこの半島で一番安全な場所に置いておきたいと考えています」
「……どこでしょうか?」
「半島で一番安全な場所、それはオスカー王子のお側です。
どうか我が最愛の娘を妻として娶って頂きたい」
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