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第70話 ケモズ共和国攻略編 混戦

俺もクロエも大技だ。


いや、それは単純に修業が足りないだけなのかもしれないが、今の段階では死活問題だ。


こう混戦状態になってしまうと味方に被害が出る恐れがある。


一匹づつ個別に対処するしかなく、非常に効率が悪い。


敵もそれを狙っているのかもしれない。


基本的に素手で戦うベミーは、ルレ隊から借り受けた剣と盾で応戦している。


子アルウネアの糸に触れないよう皆慎重になる中、


異次元の反射神経を駆使し、不慣れな剣捌きながらも次々と敵を撃破していた。



俺の足に氷漬けになった子アルウネアが当たった。


クロエは甲冑の合間に埋もれながら、子アルウネアを一体ずつ氷の弾丸で、


時には氷柱で、時には氷塊で狙い撃ちにしている。


目の前には銀の鎧と振り下ろされる剣、アルウネアと毒糸、


ユウリナの放つ電撃、氷の弾丸などが乱れ飛び、俺も火球を慎重に放つ。


リンギオは二人の兵士に守られながら、得意の弓矢で次々子アルウネアを仕留めている。


キャディッシュは翼で突風を起こしながら、二刀流で女王アルウネアを食い止めていた。


剣が獲物を切り裂く音、アルウネアたちの笑い声、悲鳴、怒声、甲冑が崩れ落ちる音。


阿鼻叫喚。死、死、死。ここは地獄か。




「〝拳の陣〟だ!」


ルレの声に兵士たちは即座に動いた。


襲ってきた3匹を香ばしく焼きながら何事だと思っていたら、


「オスカー様はこちらです」と手を引かれた。


兵士が四~五名づつ背中を合わせて固まる。


拳を握るように固まる事から名付けられた防御に適した陣形。


ユウリナ、リンギオ、クロエはそれぞれ〝拳の陣〟の中央から攻撃を続けていた。


俺も周りを固めてくれた兵士たちの中央から炎を撃ち込んだ。


右、左、正面。毒の糸ごと火球で燃やす。


天井から落ちてくる子アルウネアにも炎蛇を浴びせた。


そのまま壁の腐樹に火を付ける。


キャディッシュが足元に転がってきた。


「おい、大丈夫か!」


「……ええ! あいつ、僕の、僕の美しい翼を千切りやがった!!」


憤怒しながら半べそ……どういう感情だよ。


キャディッシュの鎧はボコボコで、肩には粘着糸の破片がこびりついていた。


やっぱりキャディッシュ一人では荷が重いよな。


感染してないだけでも大したもんだ。


倒れたキャディッシュの隙をついて五匹の子アルウネアが天井から落ちてきた。


「うわっ!」


しかし寸前で俺の炎蛇が五匹全てを灰にした。


治まった炎の向こう側には鬼のような形相の女王アルウネアの姿があった。


女王のぷっくりと丸い下半身がバリバリと広がり始める。


まるでいくつも並んだエラのようだった。


次の瞬間、鼓膜をつんざくようなキィィィィィィィンンという高音が区画いっぱいにこだました。


「ぐあああ!」


「ぅぐぅぅ……なんだ、これは?」


人間達は一斉に耳を押さえて膝を折った。


ただ一人、ユウリナだけが女王と対峙していた。


「来タワネ……思ッタヨリ早カッタ」


突然、女王の背後にある扉が爆発し、ほぼ同時に女王の左腕がレーザーで吹っ飛んだ。


高音が消える。


扉から入ってきたのは……30体以上の保守機械だった。


「皆サン、オ揃イデスネ。イイ場所ガアルノデスガ一緒ニ行キマセンカ?」




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