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第209話 混乱のノーストリリア城

「オスカー様、会議中失礼致します!


中庭に腐王が!」


は? 腐王?


すぐに千里眼を発動、中庭に視線を伸ばす。


……マジか、ほんとにいる!


ナメクジのような体に雄牛のような頭部、


狂暴そうな口元、何十もの触手……


真っ黒な全身から歪な枝が生えていて、


その合間に人間の腕のようなものも見える。


既にバルバレス兵が応戦していた。


ああ、あんまり近づきすぎないでくれよ……


「どこから来たんだ?」


「軍は何をしていたんだ」


会議室がざわつき始めた。


「すぐに俺が行こう。会議は一時中断だ。


ダカユキー、カカラルは?」


「はっ、有翼人兵に迎えに……」


ズッ……と嫌な音がしたかと思うと、


ダカユキーの腹から剣が飛び出した。


「うぐ……」


一瞬、全員が固まった。


「ダカユキー!!」


同時に強烈な魔素を感じた。


倒れたダカユキーの背後に白髪の男。


さっきまではいなかった……


どういうことだ?


瞬きする間に、白髪の男は一瞬でその場から消え、


机の上に移動した。


そして目の前のギルを刺した。


「あ……」


「ギル殿っ!」


ラムレスの悲痛な叫びが響く。


瞬間的な怒りと共にフラレウムを握りしめた時、


横から白髪の男に向かって大狼のギーが襲い掛かった。


しかし、牙が喉元に届く直前、男はまたもや掻き消えた。


直後、廊下から兵士達がなだれ込んでくる。


兵達はバルバレス兵だった。


「オスカー様、バルバレス将軍、お怪我は!?」


「平気だ、状況は?」


皆剣を抜いているが、どこに向けたらいいか分からない。


「護国一番隊が全滅、中庭の腐王は神官様を中心に、


我らが何とか食い止めています」


「全滅だと……」


みぞおちが締め付けられるように痛い。


思わず固く目を瞑る。


兵士たちがダカユキーとギルの手当てをしている。


機械蜂も治癒に当たってはいるが、


俺の視界にもバルバレス、リンギオ、アーシュの視界にも、


もう生体反応無しの表示が出ていた。


こんな急に仲間を失うなんて……。


『オスカー、大丈夫?』


ネネルから通信が入った。


続けて各地に散らばる将軍たちから、


立て続けに連絡がきた。


『オスカー、私も向かウわ』


ユウリナは神殿にいるのですぐに着くだろう。


『【千夜の騎士団】ネ?』


『そうだろうな……瞬間移動の能力者だ』


ルナーオが魔剣オウルエールを抜いた。


床から緑色に発光する精霊を召喚している。


「皆さん、離れて下さい。


精霊に触れないように。


次に奴が現れたら精霊をぶつけます」


毅然とした目つきだった。


まるで戦士だ。


精霊はルナーオの周りを泳いでいる。


ルナーオが、いいですよね? 


といった視線を送ってきたので、


俺は頷いた。


リンギオ、アーシュ、バルバレスが、


俺の周りを固め、


ラムレスがみんなを避難させる。


魔剣フラレウムに炎を纏わせ、


いつでも応戦できる状態で千里眼を発動した。


くまなく城の中を探すが、どこにもいない。


あいつは何をしに来た? 誰を狙っている?


俺が敵なら……。


思考がまとまらないうちに、


メイドのヒナカが血相変えて駆けこんできた。


「アーキャリー様が……


白髪の男に捕まって……き、消えました」


……くそ!! やられた。


「……一体何が狙いだ?」


バルバレスが唸る。


「王子が狙いなら最初に仕掛けるはずだ。


アーキャリーは王家の血を宿している。


それが狙いかもしれん」


リンギオは冷静だった。


「……ひ、人質ってこ、ことですか?」


二本の剣を構えたアーシュは殺気立っている。


「いや、魔剣を扱える者は少ない。


使えたとしても力は弱いし使用者も身体を壊す。


敵がフラレウムを使いたいと思うなら、


血統ごと攫う」


「生まれた時から自らの思想を植え付け、


俺を片付けた後のために、


フラレウムをいつでも使えるようにしておく……か」


冷静に分析するリンギオに俺は自虐気味に続けた。


「もしくはザヤネとの人質交換用ですな」


バルバレスがそう言った直後、


背筋にぞくりと魔素を感じた。


瞬間、後ろから肩を掴まれた。


途端に視界が斜めに流れ、思考が切れる。


「オ……カ……様……」


誰かが俺の名を呼んでいる。


強い眩暈を感じ、よろけて思わず膝をついた時、


始めてそこが城の床ではないことに気が付いた。


振り向いても誰もいない。


やられた……。


辺りを見回す。


海辺の崖の城の……廊下?


黒い石で造られた朽ちかけの城だ。


凍てつく潮風が全身を打つ。


どこだ、ここは……。


「ようこそオスカー王子」


男の声がした。


聞き覚えがある……。


顔を上げるとそこには【千夜の騎士団】クガがいた。



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