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第185話 メミカ・トーランの日常

こんにちは、キトゥルセン王室付きメイド、メミカ・トーランと申します。


この間、子供が生まれました。


男の子で、名前はディーノと言います。


ディーノ・トーラン・キトゥルセン。


うふふ、いい名前です。


戦時中でしたので、オスカー様と二人で会える日は少なかったのですが、


二人でいるときはいつも一緒に名前を考えていました。


出産もユウリナ神がいてくれたので、


聞いていた痛みもほとんどなく、


妊娠中は至れり尽くせりで、


全くもっていい身分でした。


まっ私が可愛いからですけど、うひひ。


はっ! いけないいけない、人前で出ないように気を付けないと。


体調が戻ってからオスカー様が祝いの席を設けてくれました。


城中のみんなで夜通し宴会をしてとても楽しかったです。


私は母親になったわけですが、


子育てはマイマが色々と教えてくれるので助かっています。


マイマの子供、ルーナちゃんは女の子、


私のディーノは男の子。


普通の王家なら男児に王位継承権がありますが、


キトゥルセン王室は代々魔剣フラレウムに認められなければ王にはなれません。


うーむむ、油断はできない状況ですね。


私は腹黒ぶりっ子でここまで成り上りました。


私のこのくそ可愛いロリ顔ウインクで落とせない男はいません。


オスカー様だってチョロいもんです。


初めて浴場でお会いした時、


スケスケの水衣でウインクしたらおっふってなってましたから。うひひ。


さらにお風呂で石鹸つけてぬるぬるしてあげれば、


ぬるぬるがぬるぬるしてぬるぬるになるので、


何でも言うこと聞いてくれるのです。


あ、これはあれです、ナニがどうなるのかは恥ずかしくて言えませんので、


皆さんの想像にお任せしますね。


ふっふっふ、なので影でこの国を操っているのは実は私と言っても過言ではないのです。


……とまあ冗談は置いといて、私はオスカー様と唯一の同い年なので、


どこか他の者とは違う距離感を感じているのです。


でもたまにおっさんくさい所も垣間見えるので、


なんとも読めないお方です。



オスカー様はカカラルに乗って西の国に行ってしまいました。


私は里帰りしようと思ったのですが、


我がトーラン家はガラドレスの統治会に入ったらしく、


なんと実家が変わってしまいました。


仕方なく、元ザサウスニアの帝都、ガラドレスへ向かいます。


お父上と母上は元気でしょうか。新しいお家はどんな感じなんでしょう。


ガラドレスは大きな街で、気候も暖かいですし、食べ物も豊富です。


もうわくわくが止まりません。


でもディーノには昔の実家のイズコ村も、いつか見せに行きたいと考えてます。



そしてそして、やはり王家の血を紡いだからでしょうか、私の扱いが依然と大違いです。


まず護衛には【護国十二隊】の二番隊がつきました。


隊長はスノウです。根暗だけどイケメンなので私のお気に入りです。


で、ベミー軍も南進するとかしないとかで、途中まで同行してくれます。


ベミーは年上なのに子供みたいなので一緒にいて気が楽です。


アホなのでよくからかってます。


そして【王の左手】クロエまでついてきてくれました。


ともすればオスカー様より強いと噂されてる魔人です。


でも同じ【王の左手】なら私はお気に入りのリンギオがよかったです。


それを言ったら生意気だとクロエに頭を叩かれました。


私の方が古株なのに容赦しません。


でも気を使わない友達の存在は正直ありがたいですね。


こんな物凄い護衛軍を付けられて私はとてもいい気分になりました。


小さな国ならものの数日で滅ぼせる軍勢と考えると震えます。


ロミとフミ風に言うならふーるーえーるー! です。……うざ。


ふふふ、皆の者、ひれ伏しなさい。


……すみません、一度言ってみたかったのです。


あ、昔私に意地悪していた従妹にこの姿を見せつけて仕返ししなくては。うひひ。


しかし、アーキャリーもモリアも相次いで懐妊したので、


私もうかうかしていられません。


子育ては専門の機関にお任せですので、あとは何人産むかの勝負ですね。


陰謀渦巻く王宮での戦い、私は絶対に負けないのです。


トーラン家は昔から名家です。


オスカー様との間に何人も子供を作れば、


キトゥルセン家と我がトーラン家はずぶずぶでぬるぬるの関係になって、


向こう100年は安泰でしょう。


そう言えば兄のヴァンダムも私の里帰りに合わせて帰ってくるらしいです。


ちょうど南部から引き揚げてきていると聞きました。


兄はアルトゥール将軍の部隊長です。


七将帝の軍ではないけど、


将来有望な将軍らしいので父上的にはまぁ合格といったところみたいです。




さてさて、未来の王の一人を産んだわけですが、


この身分でいること自体、私にとっては仕事です。


どういうことかと言うと他のメイド同様、


オスカー様を愛することを仕事としているわけです。


王家の特別な血を増やし、


平和と繁栄を支えるとても重要な役職と心得ています。


たとえ相手がだれであれ、真剣に愛すること。


ノーストリリア城のメイドに決まってから、


そうお父様に徹底的に教え込まれました。


ですのでオスカー様の事も、正直割り切った感情で接していました。


ですが……


なぜかオスカー様のお顔が頭から離れません。


これが恋……? いやいやまさか。


そう言えば最近のオスカー様は体調がすぐれない様で心配です。


クロエに聞いたら、ガシャがどうのこうの言っていました。


なんでも、たちの悪い悪夢を見るそうです。


心配だから手紙を書きたいと思います。


馬車の中は揺れるので書きにくいのですが、


胸の内から湧き上がるこの不思議な気持ちを抑えられません。


かわいそうにオスカー様……


今度会った時は私の得意なはちみつの紅茶を……


もしくはベッドの中で優しく頭をなでなで……


はっ! 別に本気で好きになってはいませんよ!


あくまで仕事なのです。〝好き〟なのが仕事なのです。


だからこのきゅんきゅんする気持ちも、


あんなことやこんなことを思い出して火照る身体も、


全部仕事なのです!


はっ! 気がついたら自然と何回もオスカー様と書いてしまいました。


1,2,3枚も紙を無駄にしてしまいました。


ダメですダメです、こんな町娘の純愛のようなことをしていては、


陰謀渦巻く王宮で生きていけません。


はっ! 自然と指がパンツの中に入ってしまっていました。


なんか気持ちいいと思ったら……危ない危ない。


私は貴族なのです!


こんな町娘の初恋のような生ぬるい感情など捨てなければなりません。


……違います、鍵をかけたのは防犯のためです。


やっぱり移動中は狙われやすいですから、用心しなくてはいけないのです。


……違います、服を脱ぎ始めたのはちょっと暑くなってきたからです。


やっぱり南の方は暖かいのですわねー。


……違います、軟布を用意したのはあれです、その、やっぱり、ほら……



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