1話 いきなりピンチじゃないですか!?
僕は今とてもピンチな状況に陥っていた。
「やばいやばいやばい!どうしたらいいんだ!」
目の前には見るからに山賊や盗賊といった風貌をした連中がこっちに向かって来ていたのだ。もし見つかってしまうと何をされるかわかったもんじゃない。
「まずは隠れなきゃいけないよな!」
目の前からやってくる連中から実を隠せそうな場所を探すが、あいにくここは洞窟の中でしかも一本道、奥行きもなけりゃあ横幅もない。まさに絶体絶命の大ピンチだ。
「よし!あそこなら隠れそうだ!」
どこか隠れる場所はないかと一所懸命探していると一箇所だけ一人一人が入れそうな岩と岩の隙間を見つけることが出来たのだ。ここなら簡単に見つかることはない…と言うかそもそもここしか隠れられる場所を見つけることが出来なかったのだ。そしてその隙間に隠れる前に、もしかしたら盗賊っぽい奴らはこの洞窟にはやってこないんじゃないかと淡い期待を寄せて外を見てみると盗賊っぽい奴らは迷うことなくこの洞窟へと向かって来ていたのだ。
「どうか見つかりませんように!」
盗賊っぽい奴らがこの洞窟へと向かって来ているのを確認するとすぐさま岩と岩の隙間へと身を潜め後は目を瞑り見つからないようにと祈ることしか出来なかった。
「おい!どこに隠れやがった!」
「ここにいるのはわかっているんだぞ!出てこい!」
「今出てきたら命をとることだけはしないでやる!」
(うわぁ!盗賊っぽいのがやって来た!どうか、どうか見つかりませんように!)
とうとう洞窟の中へと盗賊っぽい奴らがやって来た。奴らは何か言っているようだけど信用することなんてできないので、僕はこのまま身を潜めて見つからないように強く、強く祈る。
「ちっ!ここにはいねぇらしいな!」
「そうだな!あっちの方に行ってみるか!」
「あぁ!くそ!見つけたら楽にはしてやらねぇぞ!」
奴らは洞窟の中へと入ってくることはなくしばらくしてどこかへ行った。だがどこかへ行ったフリをして僕が出てくるのを待っている可能性もあるので油断することは出来ないのでもうしばらくこのまま身を潜めておくことにした。
「もう大丈夫かな?」
もうしばらくもうしばらくと身を潜めて数時間が経っただろう。僕には時間を確かめる物を何も持っていないので正確なことはわからないけど体感では奴らがいなくなった後も何時間も隠れていた気がする。
「はぁ~なんでこんなことになってんだろうな」
なんで僕が盗賊っぽい奴らに追われていたのかそれは…僕が…僕が聞きたいくらいだ!
実は僕は異世界から転生してこの世界へとやって来たのだ。その転生した先が盗賊っぽい奴らのアジトだったみたいで急に現れた僕に奴らが驚き、目の前に突然人相が悪い連中がいたことに僕は驚いた。そして先に正気を取り戻した僕がその場から逃げ出すと、奴らも正気を取り戻し「ここをみられたからにゃあ生かしておけないぜ!」と言って追いかけて来たのだ。
そして奴らから逃げてこの洞窟へとやって来たと言うことだ。
「はぁ~まさか異世界転生したらいきなりピンチになるなんてな」