2.なぞのばしょ
・・・てくださーい...
起きてくださーい!!
声が聞こえた。
あれ、俺は声が聞こえなくなったはずじゃ...
周りを確認しようとして、瞼を開こうとする。
視界が開けていく。
あれ、普通に目も見えるぞ...
おかしいな...俺は死んだんじゃなかったのか?
不思議と痛みもない。体も自由に動きそうだ。
そう考えながらも俺は周りの景色へ目を移していく。
見渡す限り青い空が広がる。
その下には、どうやら古い村のような場所があった。瓦屋根、縁側のある家が見えたり、所々に畑もあったりと、まさに田舎の農村といった感じだった。
何だか、懐かしくも感じる。
ところでだ、一体誰が俺を呼んでいたんだ?
よっと、体を起こす。
そのまま村を見渡す。
「うぉっ!」
急に、ライトを直接見た時のように視界が眩む。
(なんだなんだ...)
「私が見えますか...?」
女性の声だ。大人っぽい感じがする。
「見えるには見えてる...らしい。」
眩しすぎて、人が見えるとか以前の問題だったが、その光の向こうに人っぽいような姿が見える気がしたからそう言った。
そういえば、その女性の声の質問に、俺は何故か普通に返答していた。
「まあ、見えてなくてもいいんですがね。」
「あ、そうなんですか。」
さっき、凄く適当に答えたが怒られなくてよかった。
「ところで、あなたは誰なんですか?」
「あ、自己紹介するの忘れていたわね。といっても、どうやって名乗ればいいものか...」
何やら、困っているらしい。
てか、そもそも人なのかな?
「現世風に言うなら、ここの管理人って感じかしら。」
疑問を浮かべていた時、その女性が答えた。
へー、この村の管理人...
ん?今何か変な単語が聞こえたような...
「すみません、もう1回言ってもらえますか?」
「え?ここの管理に...」
「その前!」
「え、えーと、現世風に言うと?」
「そこです!現世風って何なんですか!?」
「そりゃ、管理人なんて言葉、ここには伝わってないからよ。」
「ここには...?」
てことは、ここは現世じゃない...。
やっぱり━━━
「てことは...やっぱり俺は死んでいる?」
「正解!!」
あいつ...多分、腕で丸でも作ってるだろう。ネタっぽく言いやがって...。
「人の死をそんな明るく言うなー!!」
思わず突っ込む。
「あら、申し訳ございません。」
クスクスとした笑いが聞こえた。
全く、人の死を笑うとは、一体どんな神経しているんだか...
「でも、あなたは既に自身が死んでいることを理解されていたのでは?」
「へ?」
思わぬ質問をされて、間抜けな声が出てしまった。
確かに、あの時で自分が死んでいることは悟ったつもりだ。あの痛み、意識の朦朧さ、というより第一、大型トラックにぶつかった時点で生きている方が珍しいだろう。
だが...この状況...この場所...明らかに死後の場所には不相応な感じがして納得いかない。死後の世界なら、天国か地獄しかないんじゃないのか?こんな村みたいな場所があるなんて聞いたことが無いぞ。
「管理人さん、一体この村みたいなのは何なんだ?そこだけが俺にはわからない。」
「ああー、なるほどね。確かに、現世から来る人も皆聞いているわね。それじゃあ答えましょう。ここは...」
管理人の口からここの正体が話される。
ここは...
現世(この世)と常世(あの世)とを繋ぐ場所よ。
ちょっと待て、全く答えになっていないぞ。
「ここは既に常世なんだろう?それなのに、何で繋ぐ場所なんだ?」
「ああー...。」
やれやれ、と言った感じでため息を漏らした。この女、中々腹が立ってくるぞ。
「えーとね...確かにここは常世よ。でも、ここはその中でも、現世と常世、両方に繋がっている場所なの。」
何だか、イマイチピンとこない...
「あ、そうだ!ついて来て!」
そういうと、光が動き始めた。
よく分からなかったが、俺はその光に誘われるまま歩き出した。