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七十一幕:身体共有(下)
全てを知ると虚しくなるもんなんだな。俺は特別な人間だ、とほざいてたくせに。実際は自分以外の力を使っているわけだ。そんなものは偽りだ、まがい物だ。
やっぱり俺は特別にはなれないんだ。自分に期待しすぎたんだ。今は何もない自分だけど、きっとなにか自分にも輝くことのできるもにがあるなんて。だがそんなものはあるはずもなかった。こんなひねくれた性格で、できることも何もない。これで正真正銘、何もない存在価値すら疑う人間へと逆戻りだ。
もう俺はこんな世界にいられない。こんな人生の勝ち組が集まるようなところに俺がいるなんておこがましいにもほどがある。でも、龍神と同じ体を共有している以上、俺はこの精神世界にいるのがベストだろう。
直後、世界が暗転した。
そこは、スクリーンに映っていた通りの景色があった。




