六十七幕:炎上都市
「ジュペンって戦争国、なの?」
「違う。争い事なんて……そうだ、悪龍との抗争……アルスがいなくなったのもだけど、あいつが悪龍と関わりがあるんだとしたら。……リルは⁉あいつらを探さないと!神様、今から転移します」
言って返事を聞く前に転移を行う。行き先は勿論、リルのいる場所だ。
転移が終わるなり、急いで周囲を見渡す。だが周りには瓦礫しかない。瓦礫の下敷きになっているのだろうか。
「リル!エリナ!喬さん!聞こえたら返事してくれ!」
叫んでから、わずかな希望を胸に耳を澄ませる。
「反応がない。俺の転移がおかしかったんだ。きっとそうだ、もう一回転移すれば---」
「龍也君!あっちから音が!」
突然叫び出した神様が指差す先の瓦礫が、確かに動いた。それを見て、その瓦礫野山に飛びかかると、積もった瓦礫をどかしていく。
瓦礫をどかす途中、金色の髪の毛が見える。
「エリナ!」
名を叫びながら、懸命に瓦礫をどかす。
顔が見えると、エリナは薄く目を開く。
「エリナ!しっかりしろ!他の皆はどこいった⁉」
問いながら、上半身を抱き上げる。
「私たちは……悪龍に、襲われ、負けてこの有様に……近くにリル、って子がいる……ので、助けて、あげて……」
エリナは震える口を懸命に開いて答えると、張った糸が切れたかのように体の力が抜けて、そのまま動かなくなった。




