七幕:作戦実行
最近体調崩していて短い上に推敲もままなっていませんが、御了承ください。
おかしい部分などありましたら、感想などでご指摘いただけるとありがたいです
「このっ……トカゲのくせに調子にのって……‼」
エリウスの額に青筋が浮かんでいる。その近くでは、砂まみれになった青龍が唸り声をあげてこちらを睨んでいる。よし。相手を怒らせることができた時点で僥倖と言える。あとは考え通りにことが進んでくれればいいのだが。
頭で一連の流れを再確認していると、青龍が猪突猛進と言わんばかりの勢いでこちらに突進を繰り出してきた。なんの策もないただの直線的な突進だ。すんでのところまでひきつけてから、右に避ける。
直後、青龍が左羽根を広げたかと思うと、突進の方向を急転換して、俺のあとを追ってくる。
うおっ、さっきの俺の急停止の応用か。なんか真似されると気分良くないな。
そんなことを考えながら、羽ばたいて空へと飛び上がる。青龍もそれに続いて飛び上がる。
青龍を背に、空で弧を描くようにして逃げ回っている。途中、森の方に視線を送る。森の中にいる龍使いは、祈るように空を飛んでいるニ匹の龍を見守っている。
それを確認すると、二人がいる場所から少し離れた場所に降り立った。
よし、ここからが勝負だ。一縷の期待を込めて、作戦を実行する。
『なあ、青龍。この声が聞こえるか?』
人間の頃に読んだ本に、龍は知能の高い生き物だと書いてあった。もしそれが本当ならば、この声を理解できるはずだが。
『決闘中に話しかけてくるとは、良い度胸だな、銀トカゲ』
呼ばれ方は気にくわないが、これで言葉が通じることがわかった。これはかなり大きな益だ。
『勘違いするな。あくまで俺は青龍、お前の味方だ』
『……なんだと?』
落ち着け。自信を持て、不審な動きを見せず、取り繕う。
『俺は、あの龍のいない龍使いに無理矢理に主従契約を結ばされたんだ。俺としても多少不服でな。そこでお前のマスターの言っていた、こちらが負けたら龍使いをやめる。これが良い条件だと思ってな。さっきお前のマスターを攻撃しなかったのも、怪しまれないようにするため、それだけだ』
『ふむ……わかった、主にかけよう。だが、主が裏切るような行為をすれば、ただでは済まさんぞ』
『わかってる』
よし、これで第一ラウンドは突破だ。この調子なら、全てがうまくいくだろう。
『そろそろ、二人がこちらに向かってくる。だから、二人とも戦闘続行不能に見せかけるよう、倒れておく。そして、二人が来て状況を確認しようとした隙に、龍使いに攻撃を仕掛ける』
我ながら単純な策だ。だが、今はこれしか思いつかなかった。
『至極安直な策だが良いだろう、乗ってやる』
青龍の同意も取れ、二人でその場に倒れこんだ。
三分ほどして、足音が聞こえてきた。
「ピィ、大丈夫⁉」
そう言って、近寄ってくる足音。直後、俺は青龍の尻尾を掴んで、力いっぱいに投げ付けた。
突然のことで理解が追いつかない青龍は、されるがままに投げ飛ばされて、走り寄ってきたリルを越えて、エリウスの顔面に直撃した。
「龍による、龍使いへの直接的な攻撃……私たちの、勝ち?」
状況を理解できず、リルが困惑していた。