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白龍転生劇  作者: 蓮羽
一章
74/124

幕間:過去回想伍

神王様の発言を誰が予想しただろう。驚きに周囲がざわつく。


そんな中、先ほどまでずっと目を瞑っていたアポロンが静かに手を挙げる。


「父上の言った通り、確かに彼は先代龍神のマルクスその者だね。それは今私が”視た”ので間違いないです」


その発言が火に油を注ぐこととなり、ざわつきが一層大きくなる。が、神王様が一つ咳払いすると、そのざわつきが収まった。


「先代龍神であるやつの生まれ変わりについて、だが。皆の意見を聞きたい」


皆が口々に意見を言う中、龍神は一言も喋らなくなってしまった。神王様も龍神の方を向いてはいたが、結局何も言うことはなかった。


その日、議論の決着が付くことはなかった。




次の日、書物庫に行って調べ物をしたり、アポロンに先代龍神のことや現龍神との関係などを聞くのに半日を要した。


夕方、集めた情報を脳内に叩き込んで、龍神の部屋へと繰り出した。


ドアが開くなり、露骨に嫌な顔をされたが、ため息を吐きながら中に通してくれた。


せっかく努力したのに。この対応には腹が立ったが、このやつれた顔を見る限り、昨日のことでずっと悩んでいたのだろう。それなら多少無理もない、のだろう。


「で、何の用だ?」


聞かれ、待ってました!と言わんばかりに勢いよく立ち上がると、龍神に向かって手を差し出した。


「ねえ、先代龍神と兄弟にならない?」


「……は?」


しまった。興奮し過ぎて端折って話してしまった。冷静に、冷静に……


「えっとね、昨日の件なんだけど、君は人間が能力を持つのは反対なんだよね?十二神の方々にもそう言う人がいたけど。逆に、私たちみたいに能力を持って生まれたからって始末するのはどうか、って思う人たちもいる。そして、その子供は先代龍神ときた。聞いたよ。龍神は先代を大変尊敬してるって。友好的で、戦の時は厳しいが、己も最前線に出て戦い、絶対に死亡者を出さない」


「先代様は、そんな簡単に語れるようなお方じゃない。だって---」


「わじゃってる。だから、だからこそ子供の正体が先代龍神だと聞いて悩んでいるんでしょ?私に名案があるんだ!」


「……名案?」


自慢げに言う僕に、訝しげに聞いてくる。僕はさらに手を強く差し出して、答える。


「偵察役、さ!調べたんだけど、人間が能力を持っていけないのは過去に能力を手放したから、だけじゃない。もう一つ、人間が持つその高度な頭脳を駆使してその能力を使い、他種族を侵略する可能性を危惧していたんだ。だから、現龍神、君を監視役として先代の兄弟になるんだ!」


「そんなことが、できるのか?」


「確証はない。でも今日僕が調べた結果、過去に神が人間として成り替わる事例はあるらしいんだ。神王様も緊急の事例だと言っていた。だから、やろう!少しでも可能性があるのなら!皆がハッピーになれる策を、試そうよ!」


言い終わると、龍神がおずおずと手を伸ばす。手と手が触れた直後、窓から夕日が差し込んできた。少し眩しいな、でもこの明るい夕日のような未来が待ってるなら。それはとても幸せなことだと思う。

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