幕間:過去回想肆
その議題に違和感を覚え、思わず手を挙げて意見する。
「人間が能力を持つことの何がおかしいんでしょうか?他種族も能力を持っているし、別に人間も能力を持ってていいと思うのですが……」
言うと、隣に座っていた黄金色の鱗を持った龍が嘲笑う。
「お前そんなことも知らないで人間の神やってんのか?ああ、来たばっかでわからないのか。仕方ない、龍神様直々に教えてやるよ。……よろしいですか?神王様」
龍神が問うと、神王様は目を閉じたまま微動だにしなかった。龍神はそれを是と捉え、話し出す。
「先代のヒトガミがいた頃、地球は俺ら龍族が支配していた。確か、その頃は恐竜と呼ばれていたかな。その時は龍族は能力を持たず、人間が能力を支配していた。だが、その頃の能力はまだ発達しておらず、人間と龍との間には超えられない体格差や力量差があった。だからヒトガミは人間が持つ能力を龍に渡す代わりに、人間の領土を得た。以来人間が能力を持つのを禁忌とされている。わかったか?」
「長ったらしくてよくわかんなかったけどとりあえず人間が龍に能力あげたのと能力持ってちゃダメなのと龍神は説明下手なのがわかった」
説明が終わってドヤ顔になっていた龍神の顔が目に見えて真っ赤になる。多少キツく言ってしまったかもしれないが仕方ない。本当にわかり辛かったのだから。
「……もういいか?」
一言。たったの一言でその場の空気を凍らせた。神王様の声には何か特別な力でもあるのだろうか?
神王様は周りの神の顔を見回すと、再び目を閉じる。
「して、彼の処遇だが……どうする?」
「能力を持った人間など、即座に始末するべきだと思います!」
勢いよく。龍神が挙手して発言する。龍神のやつ、他種族の事情だからって……
「僕は当然生かすことに賛成しますが……そもそもなぜ、その子が能力を持って生まれることになったのでしょうか?」
「簡単なことだ。彼の前世が龍族……しかも先代の龍神だからだ」
直後、その場にいた神王様以外の全員の目が見開かれた。




