五十七幕:万事根気
声高らかに宣言してから、地図のバツ印が書き込まれている場所の近くに転移する。
「えっと、ここら辺だと思うんだけど……そもそもここがどこなのかわからないうえに、何を探せばいいのかわからない。これって探し当てることできるのかね」
「何事も、根気強くやればきっと成功するんだよ!とりあえず何か違和感があったり、気になったものがあったら各々報告しよっか」
きっと、という言葉に一抹の不安を感じるが、いかんせん手がかりが何もない以上は手当たり次第に捜索するしかない。二人はそれぞれの場所を探し出す。
しばらくして戻ってくると、成果をあげたのだろうか。大変ご満悦の表情で待っていた。
「龍也君、何か見つけたかい?」
ニヤニヤとした表情を崩すことなく、聞いてくる。
「少し遠くに遺跡のようなものがあった。……神様は何か凄いものを見つけた様子ですね」
「僕はね、こんなものを見つけたんだ!」
ふふん、と鼻を鳴らしながら、顔の文様が刻まれたお面のようなものだった。
「どうどう?凄いでしょ!他にもね、はにわや土偶、銅剣とかもあったんだよ!」
嬉々とした表情で見せつけてくる。神様は今回の趣旨を忘れたのだろうか。
「神様……それらが明らかに違うってことがわからなかったんですか?神様の分際でそんなこともわからないなんてあれですか?馬鹿なんですか?」
神様の行為に呆れ、非難する。すると、みるみるうちに神様の顔は赤くなっていった。
「なんだいなんだい!だったら、君が見つけたって遺跡を見せてみなよ!どうせ、ただの洞穴だろうけどね!」
怒った神様を尻目に、先ほど見つけた遺跡へと歩いていく。後ろから「無視しなくてもいいじゃん……」などと愚痴が聞こえてきたが、聞こえないふりをする。
「着きましたよ、ここです」
その遺跡は、ドアのみが存在し、奥行きはドアの厚さ分だけだった。そして、扉には六芒星が描かれていた。
それを見るなり、神様は愕然とした表情を浮かべる。
「龍神のやつ、まさかこんなものまで作るとは……龍也君、これは地上界と神が住まう世界、神界を繋ぐゲートだ」




