二十八幕:二面騎士
「お前たち、そこで何をしている!……特にその龍使い、見ない格好だ。どこの者だ!」
空から武器を向けてくる。銃剣か。腰にも長剣を携えている。ただの巡回兵士にしては重装備すぎないか?何かあったのだろうか?いや、考えすぎか。既存の知識で決めつけるのはよくない。
「俺たちは、赤龍アルスの捕獲の報告をもらってここまできた次第だ。とっとと城に案内してくれ」
「赤龍の……嘘をつくな!あの報告書を送ったのは昨日だぞ⁉片道で一日かかるというのに、既に到着しているなんて、あり得るはずがない!」
さらに凄みをかけて、引き金に指をかける。アヴルはそれを見て不敵に笑うと、慣れた手つきで白龍に飛び乗ると、一瞬にしてその場から姿を消した。
「なっ……⁉どこへ消えた⁉」
狼狽えて、キョロキョロと周囲を見回すが、アヴルらしき龍騎士は見当たらない。
「これで理解してもらえたかな?」
隊長らしき人がその声に驚き、後ろを向く。
「よう」
そこには、ジュペンの龍の上に乗るアヴルの姿があった。
「いつの間にっ----っつ⁉」
上半身を翻して、銃を構えようとする。だが、後ろを向くことも叶わず、 その場で気を失う。頭に衝撃を与えて気絶させたのか。そんなこと、本当にできるのかよ……下手したら死ぬぞ。
同じ要領でもう一人、気絶させる。ここまで、能力は使ってるものの、殺傷武器を持ってる相手に、素手のみで抗っている。
アヴルが最後の一人を睨みつけると、陸に降りて、両手をあげる。それを確認するなり、アヴルは深いため息をついて、白龍から飛び降りる。
「じゃあ、これからする質問に答えてね。嘘ついたらこの子が噛み付くから気をつけてね〜」
そう言って白龍の頭を撫でる。白龍は、飢えたライオンのようにグルルル、とうなっている。
「一つ、今この国、ジュペンでは何が起きている?君たち巡回兵士だろ?その割には重装備すぎる」
やはり。勘が当たった。山賊程度、銃剣一つでなんとかなるだろう。まあ、長剣が増えたところであまり変わらないだろうが。
アヴルが問うと、体の震えが止まり、意を決したように顔を上げ、口を開く。
「今、この国では黒龍……世界的に言う、悪龍が至るところを闊歩してるんです」
短いです…申し訳ない




