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白龍転生劇  作者: 蓮羽
序章
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二幕:龍達ノ郷

毎日更新頑張ってます。

どうやら俺は交通事故で死に、転生して卵から生まれたらしい。


そして、不本意だが今俺を大事そうに抱えている少女のペット、みたいな扱いを受けている。


それにしても危なっかしい。急いでて前しか見てないのか、先ほどから何度も木の根っこにつまづいて転びそうになっている。


「ほら、ピィ、もうすぐ私の村に着くよ!」


こっちを見ながら嬉しそうに笑いかけてくる。ピィとはなんだピィとは。俺の名前じゃないだろうな。もっとかっこいい名前にしてくれよ……と、呆れながらも、彼女の村がある、という方を向く。すると、目の前には村ではなく、木が迫ってきていた。否、少女が木に突っ込んでいた。


危ない。そう思ってピィピィと叫ぶが、可愛い、と呟きながら情けなく顔をほころばせるだけで、気付く様子がない。


それでも、ずっと鳴き続けてることに違和感を覚えたのか、ふと前を見る。そして木にぶつかりそうだ、ということに気付くが時すでに遅し。もう木は目と鼻の先にまで迫っていた。


ゴン、という鈍い音が聞こえたかと思うと、直後思い切り吹き飛ばされた。どうやら、少女が木にぶつかる直前に右手に乗せてくれたらしい。おかげで直撃は免れたが、少女が木にぶつかって急に止まったため、慣性力に身を任せてそのまま前方に吹き飛ばされた。五秒ほど空中飛行を楽しんだ後、目の前に現れた川に落下した。


落ちたところが水だったこと、そして川が透き通るように綺麗だったことが不幸中の幸いか。どうやらこの体は鱗で覆われているらしい。そこまで痛みを感じなかった。それよりも少女が心配だ。飛ばされたとはいえ、直撃は避けてもらった恩があるしな。そう思い、川からあがる。


その時ふと、疑問が浮かぶ。そういえば、銀色の前足と鉤爪、鳴き声以外今の自分が何なのか全くわからない。せっかくの機会だ、今の自分の姿でも拝んでやるか。そう決めると、川を鏡にして、自分の姿を映す。


するとそこには、純白の鱗に包まれたずぶ濡れの子龍がこちらを覗き込んでいた。


え?これ俺?我ながら思わず見とれちまったぜ。てか龍かよ。これ人生、いや龍生か?勝ち組だろ!

冗談めかして、水面に向けてポーズを決めてみる。うん、俺かっこいい。


そんなことをしていると、水面に人影が映り込んできた。一瞬驚いて警戒するが、先の少女だということがわかると、警戒を解く。そういえば探すの忘れてた。


よく見ると、目に涙が溜まっている。まあ、音からしても痛そうだったしな。


そう決めつけ、納得していると急に抱きつかれた。少し苦しい。


「ごめん!本当にごめんね!私がちゃんと前見て走ってたらこんなことには……」


違った。彼女は、失態を他のせいにせず、自分で全てを背負っている。こういうやつは決まって色々の人にいいように使われる。


まあどうなろうと、俺には関係のない話だ。だが、その誠意には答えようと思い、ひと鳴きする。


彼女は目に溜まった涙を拭うと、思い出したように喋りだした。


「あはは、恥ずかしいところ見せちゃったね。そうだ、ピィ!ここが私の住んでる村、龍の郷だよ!」


そう言って、川の向こう岸を指す。もうピィで固定なんだな……と、半ば諦めつつ、指差す方向を見る。そこには、いかにも村、という景色が広がっていた。だが、俺の知っている村と違う点がひとつある。それは村の名前からしてもわかることだが、村の至るところに龍がいて、人間と共存していること、だった。


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