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白龍転生劇  作者: 蓮羽
一章
29/124

二十五幕:色魔騎士

「ごめんなさい、あなたがどのような心持ちで言ってるのかわかりませんが、私がピィ、この子をどうしようと私の勝手だと思うんですけど」


聖騎士の発言をばっさりと切り捨てると、踵を返して、歩き出した。


直後、目の前が真っ白になった。


なんだ?この感じは空間転移?だが、俺は空間転移なんて使ってない。第一、今日の分はもう使っちまったしな。なら、誰が?




視界が戻ると、甲冑をかぶった騎士に抱きかかえられるリルと、その腹の上に俺はいた。


「釣れないですね。少々手荒ですが、このままついてきてもらいますよ」


こいつ、聖騎士か。てことはこいつ、空間転移を使うことができるのか⁉


『青龍‼』


叫び、助けを求める。


『任せろ』


一言、そう呟いて巨大な白龍に向けて水圧砲を放つ。


水圧砲はみるみるうちに白龍に吸い込まれていき……消失した。かと思うと、その水圧弾はいつの間にか上昇を始めていき、破裂した。


「危ないなあ、まったく」


いくつもの水滴を浴びながら呟くと、手綱を引いて、それに呼応するように白龍は飛翔した。直後、視界を失う。次の瞬間には、空に二人と二匹の姿はなくなっていた。




「手荒な真似をしてごめんね。でも、君が白龍を持っている以上、見過ごすわけにはいかないんだよ」


甲冑をとった聖騎士は、青色の髪をなびかせながら、キメ顔をしてそう言った。


「まあ、私も城に行く予定があったので、その点では感謝します。ですが、あなたとお話しする気はないので、これで」


俺を腕に抱えてそう言うと、城内へと向かう。その後ろには、聖騎士。先ほどいた龍は消え、代わりに聖騎士の頭の上にちょこんと座る白龍がいた。


城内の廊下を右へ、左へ。だが、まだ聖騎士は後ろにいた。


「ついてこないでもらえますか?」


ついに我慢の限界がきたのか、リルが切歯扼腕しながら、強く言う。だが、


「僕もこっちに用があるんだ」


そう言って、はにかんで見せる。なら、お先にどうぞ、と先に進むように促すと、もっと君の後ろ姿を見ていたかったけど、などと愚痴をこぼしながら前を歩く。


リルはというと、なんか寒気がする、と呟きながらガクガクと震えていた。




結局、王室まで一緒だった。

王室の前にいる近衛兵が、こちらを見るなり敬礼をする。


「アヴル様、リル様、中で皆様がお待ちしております。どうぞお入りください」


聖騎士の名前、アヴルって言うのか。そんなことを思いつつ、中に通される。



「おお、二人とも一緒だったのか」

中に入るなりそう歓迎してくれたのは、一度は捕まった、リルの父親---ライネックだった。ライネックはリルとアヴルを交互に見ると、口を開いた。


「リルは手紙を読んだからわかると思うが、東国でアルスが見つかった。そして、話し合いのもと、保護をする。俺は別件で行けないから、知っている人がいた方がアルスもいいと思って、お前を呼んだんだ。だが、さすがに一人じゃあ危ない。そこでアヴル、君にリルの護衛を頼もうと思うんだ」


「了解しました。---よろしくね、リルちゃん」

さすがは龍騎士団長というところか。前と代わり映えしないカリスマっぷりで命令をくだしている。


リルは、最初固まっていたが、ことを噛み砕いて理解すると、素っ頓狂な声をあげた。


「こいつと一緒ぉ⁉」


リルの悲痛な叫びが、王室内にこだまする。

ツンツンしてるリルも可愛いですよね!

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