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白龍転生劇  作者: 蓮羽
序章
26/124

二十二幕:一新紀元

第一章の始まり始まり〜、です。

村に戻ってからおよそ三ヶ月。村の暮らしに慣れ、滞りない生活を送っている。


あれ以降、事件は何も起きていないし、アルスらしい赤龍も見かけていない。事件がないことはいいことだが、アルスが生きている、という尻尾を掴んだのに、探しに行けない、とリルは思ってるのだろう。だが、リルは心配されるようなことは笑顔の裏に隠してしまう。思い詰めすぎて精神が崩壊しないよう願うばかりだ。


「ただいまー!」


と、いつもの日課で外を走っていたリルが戻ってきた。リルいわく、龍使いであるからには、体力がなくっちゃ、らしい。


「ピィ、いい子にしてた?」


そう言って、頭を撫でてくる。


ちなみに、リルにはまだ俺の正体はばれていない。


俺は、元は人間だったが、とある事故のせいで存在と住む世界が変わる、といった面倒くさいことに巻き込まれてしまったのだ。おかげで今では白龍として、龍生を歩んでいる。


「ねえピィ、外に散歩にいこっか」


額についた汗をタオルで拭きながら、微笑みかけてくる。


散歩か……散歩に行ってあの面倒な事件に巻き込まれたんだよな……まあ、そんな稀なことはそうそう起こらないだろう。快く、ピィ、と返事をする。


その返事を聞くと、タンスに向かって歩いていく。


「汗でベタベタしてるから、着替えちゃうね。ちょっと待ってて」


そう言って、さっきまで来ていた麻布の服を脱ぎ出す。いかんいかん、いくらガキの着替えとはいえ俺だって男だ。反射的に目を逸らしてしまう。

落ち着け。意識するな、俺!




「お待たせ、いこっか。……どうしたの?」


振り返ると、いつも通りの民族衣装のような服を着たリルがいた。


その姿に安堵し、一緒に家を出る。




村を歩いていると、仲良くなった農家さんがトマトのような果実をくれたり、通りすがりのおばあさんに龍のお菓子らしい、ビーフジャーキーのようなものをもらったりと、なかなか楽しい。


やはり、滅多に事件は起きないな。心の中でそう信じて疑わなかったから、ずっと楽しんでいた。


だが、それは過去の話。


村長……リルの祖父の家に着くと、持ち前の怖い顔を物凄い形相にして、詰め寄ってきた。


「リル、心して聞け。東方の国で、アルスが捕獲された。そして、国から直々に、リル・ウサルクスも、リルも一緒に来い、との直令が来た」

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