表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白龍転生劇  作者: 蓮羽
序章
22/124

十九幕:能力覚醒

眼が覚めると、近くで何かが爆発する気配がした。危険かもしれない、そう思って声を張り上げる。


唐突にピィ、と叫んだ俺に二人は驚いて体を震わせると、ばっ、とこちらを向く。


やはりこれは現実だったようだ。俺の体は龍だし、声も名前通りピィ、と鳴くことしかできない。これが人間が、俺が化けた姿なんてあり得ない、そう思えた。


叫んだ直後、隣の部屋から爆発音が聞こえてきた。


「「きゃっ⁉」」


二人の悲鳴が部屋に響き渡る。すげえな空間操作。察知もできるとか有能すぎだろ。これ結構チート能力だな。神様たちがこぞって慌てるのも納得だ。


ええと、能力を使うには、対象に向かって心で祈るんだよな……。


---隣の部屋よ、出入不可の孤立空間に。


これでいいのだろうか。あとは部屋の前に行って解除すればいいのか。


策を立て、部屋を出ようとする。が、龍の爪ではドアの鍵を開けることができなかった。


ああもううっとうしい。


---ドアよ、外側に通じよ。


祈り、ドアに向かって飛び込む。すると、ドアを綺麗にすり抜けて廊下へと出る。


まじ便利だなこの能力……こんな能力を生まれ持った俺って実は人生勝ち組だったんじゃねーの?浮かれながら、ドアの前まで飛んでいく。


---孤立空間よ、空間の捻りを元に。


直後、麻袋を担いだ男二人組が、倒れるように廊下に飛び出してきた。


「なんだったんだ今のは……一瞬まじで焦ったぜ」


「兄貴、今の音を聞きつけた騎士団の連中が来る前にとっととずらかりましょうぜ」


ひそひそ声で話している二人。一人は細身で背が高く、兄貴と呼ばれた方は背が低く、ふくよかな体をしている。そして、後者の人間の肩には、暴れる麻袋。……暴れる麻袋?


---麻袋の中身よ、俺の元へ。


すると、口を紐で縛られた赤龍が床に現れた。


やはり。こいつらが龍を盗んでる犯人……名付けて盗龍族、か。そう考えるとこいつらが青龍を盗んだ可能性が高い。


と、そこまで推察したところで、リルとエリナがドアを開けて廊下に飛び出してきた。


「ピィ!急に飛び出してどうしたの⁉ドアもすり抜け……る、し?その人たち、誰?」


リルが問うが、縛られてる赤龍と麻袋を見て状況を察したようだ。こういう時に限って、勘が働くんだよな。とりあえず、真偽を確かめないと。まずは、こいつらのアジトに乗り込むか。


---俺から半径十メートルにいる生物よ。盗龍族のアジトへ。


祈ると、辺りがまばゆく輝いた。




光が収まると、そこは廃工場のような、ところどころ鉄骨がむき出しになっている建物の内部にいた。


さあ、ボスはどこにいるのだろうか。辺りを見回していると、突然頭痛と疲労感に見舞われた。


「ピィさん!」


頭痛で飛行が安定しなくなり、墜落しそうになったところを、エリナが受け止めてくれた。リルと違ってなかなか柔らかい。こっちでも悪くねえな。---とまあ冗談はこれくらいにして、現状を再確認する。


今いるのは盗龍族のアジトにいるらしい、ということ。そして、空間操作を何度も使用すると、体に負担がかかる、ということだろうか。


空間操作の内容によっては一回で何回分も消費する場合があるから当てにはならないだろうが、一日三から四回を目処に使っていくべきだろうか。まあ、いつ封印されるかはわかったもんじゃないが。


エリナの腕をすり抜け床に降り、空間察知をする。


……右に龍の集団がある。そして、上に十数名の武装した集団。まずは、龍を助けて協力を募るべきか。


「ピャァ!」


雄叫びをあげ、先陣を切って走り出した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ