一幕:異種転生
こんにちは蓮羽です。
この度は白龍転生劇をご覧頂き、ありがとうございます。
投稿して1日でブクマや評価を頂いて、少しどころかかなり調子乗ってますが、皆さんに出来るだけ楽しんでもらえるよう、邁進していきますのでどうか今後ともお付き合いのほど、よろしくお願いします。
(ん……)
身体への圧迫感に心地悪さを覚え、目を覚ます。
(ここは……?真っ暗だ……っ⁉)
首をもたげようとすると、頭に激痛が走った。
(なんなんだ一体……ッ⁉そういえば俺、トラックに轢かれたんじゃ)
体に異常がないかどうかを確認するために腕を動かすが、この場所は今の膝を抱えた体勢を保つだけで精一杯なようで、思うように身体を動かせない。ずっとこの体勢はきついな、そんなことを考えていると、周囲からピキ、という何かが割れるような音が聞こえてきた。
一体何事だ?そう思っているうちにピキピキ、という音は大きくなり、次の瞬間に差し込んできた光に目がくらんだ。
「やっと生まれた!」
世界が光に包まれた瞬間、そんな声が聞こえてきた。一体なにが生まれたのだろうか。そう訝んでいると、何かに体を包まれて、直後浮遊感に襲われた。
(何事だ⁉)
この体を包んでいるのも毛布とは少し感触が違う。一体何に包まれてるのか見てやろうと思い、目を開く。すると、そこには予想だにしていない光景が広がっていた。
まずは空。今はどこにいるのか知り得ないが、どこでも代わり映えしない空だ。そして、木。森といったほうが正しいか。大きな木が無数に生えている。そして、自分を包んでいる正体。それは手、だった。そして、目の前には人間の顔。民族衣装だろうか、片方だけ袖のある浴衣のような服を身にまとっている。
問題なのはその大きさ。外見もさることながら、百七十三センチある俺を手で抱えることができるなんて普通の大きさじゃなし得ないことだ。
お前らはいったい何者なんだ。そう口にする。だが、実際に音として出たのは、そんな意味を持った言葉とは遠くかけ離れたものだった。
「ピィー!ピィピィー!ピャーッ!」
……え?
声の代わりに何か、鳴き声のようなものが辺りに響いた。
いや、気のせいだろう。だが、少し違和感があったので、もう一回声に出してみる。
「ピィー!ピィピィー!ピャーッ!」
感じた違和感は間違いなかった。これは、俺自身から発生してる音だ。体は、どうなっているんだろう。 おそるおそる両手を見る。するとそこには、人間の手などなく、代わりに鉤爪の生えた純白の前脚が、そこにあった。
この体、この声、そして、生まれた……要は、俺は別の種族に生まれ変わったってことか?確かに生まれ変わったら人間以外の種族に生まれたい、とは願ったが。実際にその状況下に置かれると、現状が理解できず、理解が追いつかない。
そんな俺の困惑っぷりなどつゆ知らず、俺を抱えている人間は、ずっと俺に話しかけてくる。やっと鳴いたね、とか、名前何がいい?可愛い名前がいいよね、とか。うるせえ俺は男だ。かっこいい名前にしてくれ。
そう願い、叫んでも声になってこの人間に届くことなどない。ただ、現状でわかったのは人間以外のナニカになった、ということと、俺をペットみたいな扱いをしてくるこいつと意思の疎通ができない、ということだけだった。