十六幕:一朝之患
長くて今週末まで短いかもしれません。
申し訳ございません。
城の内部に入り、庭に降りる。そして三分ほど龍に揺られていると、すごく大きな龍小屋に到着した。
龍が停止するや否や、奥から人が出てきた。
「俺は所用ができてすぐ行かなくてはならないから、こいつを頼む」
「了解です!お任せください!」
そう言って、龍の上から降りる。
「ありがとね」
一言、お礼の言葉をかける。そして、ブリーダーらしき人が手綱を引っ張って龍小屋の中へと連れて行った。
「さて、俺はこれから今回の任務とカタルトス嬢の使役龍の件について報告をせねばならん。それまで私の部屋で待っていてくれないか」
そう言われて連れて行かれたのは団長室、と書かれた部屋だった。慣れた手つきでドアの鍵を開けると、中に入るように促される。
「悪いが、しばらくはここで待っていてくれ」
そう言い放つと、ドアを閉め、足音が遠ざかっていった。
「リル様、貴女のお父様はアルテアの龍騎士団長だったのですね!さすがですわ」
「いや、私も今初めて知ったんだけど」
昔は一兵卒として働いていた、と聞いていたが。
この半年でなにかあったのだろうか。私の中で、私の知っている父親が消えていく。
優しかった父。一緒に遊んでくれ、私の知っている龍のことごとくを教えてくれたのも、まごうことなき、父である。そんな尊敬の念を抱いていた父に、少しだけ不信になる。
「そんなに気になるなら、問いただしてみればいいのでは?」
顔に出てたのだろうか。少し心配そうにこちらの顔を覗き込みながら提案する。
昔からの性格か、あまり人を問いただすのが得意でなくて、いつもうやむやにされたりと、聞けないことが多いのだが。お父さんが戻ってきたら問いただそう。たとえうやむやにされても、今の私にはエリナが付いている。私が無理でも、きっとこの人が。手伝ってくれるだろう。




