百幕:荒廃集落
「……そうだ!俺の家族が龍となって生き返ったのだとしたら、リルたちも龍となって生き返ってるんじゃ!どこにいるか、わからないか⁉」
「わからないことはないんじゃが……行って後悔するでないぞ」
「大丈夫だよ!早く連れてってくれ!」
神王はため息をひとつ吐くと、俺ごとリルのいる場所へと転移した。
「ここは……?」
転移した先には荒廃した家々と朽ち倒れた木、そして砂漠。それしかなかった。
「こんなところで龍の体とはいえ人間だった人たちが生きてけるのか?」
「ここは小僧が昔いた場所……龍の郷じゃ。そしてここにリルやエリナがいる」
ここが龍の郷で、リルたちがここで生きてるだって?さすがににわかには信じがたいが。とりあえず、周囲を散策する。
確かにここの家の造りは龍の郷の家に酷似している。でもこんな家の構造はどこにでもあるはずだ。もっと決定的な証拠があれば。それならば認めざるを得ない。でも、リルがこんなところに残ってるとは思えない。でも……
「早くリルを見つけなくちゃ」
口に出して決意を固め、散策を再開する。
すると、青い龍がひときわ大きな家へと入っていくのが見えた。あそこに何かあるのか?
なるべく足音を立てないようにその家へと近づき、窓から中を覗き込む。中には二十ほどの様々な色の龍が一方を向いて祈るように跪いていた。
その先にあるのはかつてリルの家で見た、額に入った赤龍---アルスが描かれた一枚の絵だった。




