8、救助
「おいマール、いい加減にしろよ?」
天の助け(?)オルさんも来てくれてました。
薬師様に殺気を放ちながら、美女さんをロープでグルグルにしています。
美女さんが大人しいなーと思っていたら、猿ぐつわまで咬まされてます。ちょっと痛そうです。
「うるさいですよオル。感動の再会なのに」
「いいから離れろ!ミラは男に免疫がないんだよ!」
「そうなんですか?ミラさん」
何故か嬉しそうな薬師様。
そうですよ。
村の男の子達と遊ぼうものなら満面の笑みを浮かべたオルさんが、その男の子達に特別レッスンの剣の稽古をつけたりするんです。私には女の子の友達ばかりです。
「ええ。おかげさまで」
にこりと笑うと、オルさんはバツの悪そうな顔をしました。
まったく…オルさん過保護にも困ったものです。
「それはともかく、外にいる連中と、これ…どうする?」
オルさんは慌てて話をそらすと、ロープでグルグルミノムシのようになった美女さんを指差します。
「そうですねぇ…」
薬師様は考えるような仕草をしつつ、私をちらりと見ました。
「ミラさんは、どうしたらいいと思いますか?」
「ふぇっ!?」
突然、私に問いかける薬師様は、綺麗な顔に笑みを浮かべて、私の頬をそっと撫でました。
薄い茶色の瞳は、不思議な光を放ちつつ私の事をじっと見つめてきます。
心臓がまた跳ね上がりました。触れられた所からどんどん熱が上がるみたいで、頭がクラクラします。
「あああああああの、わわわ私はそのあの…」
「おいマールこの野郎…どういうつもりだ」
「え?処分をミラさんに決めさせることですか?それとも僕がミラさんに触れることですか?」
「両方だ!」
薬師様は小さなため息をつくと、私から手を離しました。今回ばかりはオルさんの過保護に感謝です。
「一番怖い思いをしたのはミラさんですからね。僕が可能な限りミラさんの要望に応えようかと。
それに…助けるのがちょっと遅くなってしまいましたから、お詫びも兼ねて…」
「そんな…薬師様は命の恩人です!」
「それは違いますよ。今回は僕のせいみたいですからね」
そういえば…あの時に美女さんが「薬師様を連れ帰る」とか言っていたような…?
「あ、あれ?もしかして…薬師様はこの方とお知り合いなのですか?」
「知り合いっちゃ、知り合いか?」
オルさんはニヤリと笑い、薬師様は珍しく眉間にシワを寄せました。
「知り合いというか、見かけた程度です」
「見かけた後で、がっつり言い寄られてたじゃねーか」
「黙ってなさいオル」
私は混乱してきました。
つまり、薬師様は美女さんを見かけて、美女さんは薬師様を連れて行きたくて、薬師様は…
「もしかして、この方と薬師様は恋「違いますよ!!」ですか?」
え?違うのですか?
それでは一体どうして…
「きちんと説明しますから、お願いですから聞いてください。
僕は、この人を見たことがあります。『薬師の証』の授与式で、です。
授与式は『城』で行います。
参加するのは薬師の筆頭と、王族の方々です。
この人は王族です。この国の二番目の王女です!」
「へ?」
一気にまくしたてる薬師様。
呆然とする私。
王女と呼ばれた人は、ロープでグルグル巻きにされ床に転がされています。
猿ぐつわをかまされた口元から、ウーウーとうめき声が聞こえます。
「王女…様?」
王女様を縦ロールにするのは自重しました。