表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/38

35、呪いを解く方法

《我が言うのもどうかと思うが、マルスの事を想い、行動に出た女性は他にも居るのかい?》


「お久しぶりです精霊王、オルフェウス・ガードナーと申します。これは姪のミラです。十年前に貴方様の助力で、ミラの心は保たれました。彼女こそ精霊の愛し子であり、マルスに聖剣を与えた者です」


《うむ。我もそう思った。だが彼女はマルスの聖女ではないと言う》


精霊王様は困った顔を私に向けました。


「あ、あのすみません!記憶が最近戻ったのもあって、精霊や聖獣と話せるようになったのも驚いているくらいなのです。聖女と言われても、私にその資格があるかどうか……」


私は慌てて精霊王様に訴えます。

がっくりと膝をついていたマール様は、私の手にそっと触れます。


「すみません、混乱させてしまいましたね。では改めてお願いします」


マール様は立ち上がり、私の前で跪きます。

そっと私の手を取ると、自分の額に押し当てて頭を垂れました。


「精霊王の加護の元、我に聖剣を与えし聖女ミラ、我と共に在らんことを願う」


私の手をマール様の銀髪がくすぐります。握られた手から伝わる震えに、マール様の想いを感じ、マール様への愛おしさに心が震えて涙が溢れます。


ああ、この人が好きだ。

私の初恋の人。

記憶がなくても、髪色を変えてても、どうしようもなく惹かれた。

この人の言葉、触れる手に、私の心臓は壊れそうなくらい高鳴った。


「許すと……許すと言って、ミラ」


名を呼ばれて、触れている手が甘く痺れる感覚に私は戸惑います。


「ミラ……お願いだ、ミラ」


マール様は顔を上げ、その宝石のような紫の瞳で、私を甘く見つめて微笑みました。


「ゆ、許します……」


つっかえながらも何とか応えると、満面の笑みで「ありがとう!」と言って私に抱きつき、オルさんに怒られるマール様は、いつも通り温かくて薬草の匂いがします。私はなんだかとても心が安らいで、マール様にの胸にそっと顔を寄せるのでした。






《さて、マルスは落ち着いたかな?》


「すみません、ケヴィ」


《ふふふ、我もマルスの初恋が実って嬉しい限りだよ》


え?マール様の初恋?

マール様を見ると、顔を真っ赤にして俯いています。


「まさかマールがロリ…「黙りなさいオル」…へいへい」


オルさんが何か言ってましたが、マール様が速攻冷気を放って黙らせてます。


《さて、マルスの呪いを見せてごらん》


精霊王様の言葉に頷くと、マール様は袖を肩まで捲り上げます。赤い蛇のような模様が肩に届くくらいになってしまってます。


《ふむ、だいぶ進んでしまったね。魔法使いの時を遅らせる魔法を解いてしまったせいだね。破邪の守りを持っていて良かった。これが無ければ危なかった》


「マール様!やっぱり無茶したんですね!?」


「エンリに感謝だな…」


「すみません…ミラが泣いていると聞いていても立ってもいられず…」


マール様は憂い顔で私を見てきます。負けません。そんな潤んだ瞳で見てもダメです。ドキドキするけど我慢なのです。


《我の欠片を渡そう。ミラ、手を出して》


私が手を差し出すと、精霊王様はシャリンと嘴から、ガラスの破片のような透明なものを出してくれました。これが欠片?


《魔法使いは素材の事しか言ってないようだけど、この解除薬は聖女が必要不可欠なんだ。これを煎じて月夜の雫を混ぜ、聖女が対象者に口移しをしなきゃなんだけど》


「ふぇ!?」

「何!?」

「……」


驚く私の隣で「オルはさっきキスまでは許すと言いました…」などと言ってるマール様が居ますが、今はそれどころではありません!

キ、キ、キ、キスデスカ!!

人助け人助け……マ、マール様の唇に…私のく、くち、くちびるを…


……


「おい、ミラ大丈夫か!?」


「ふにゃぁああぁああ……」


ダメです、顔が熱くて熱くて…ずるいです…ぷしゅー…


「ミラはキスでこんなに…なんて愛らしい…」


「ごるぁ、このむっつりが!!ミラはやらねぇぞ!!俺が代わりにやったる!!」


ギャンギャン騒ぐ二人をよそに、私はひたすらマール様とのキスを想像して、顔を真っ赤にして身をよじるのでした…





お読みいただき、ありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ