3、お仕事とお勉強
初ブクマいただきました!
ありがとうございます!ありがとうございます!(ちょっと泣きました)
薬師様の家は、小さいながらも離れにトイレとお風呂があり、一階にはキッチンとダイニングルームと私の寝室があります。
二階には作業場と薬師様の寝室があります。
そうです!お世話係の部屋がちゃんとありました!感動です!
お世話係は住み込みですから、当たり前なんですけどね。
でも、私の好きなパステル調の色彩で寝具がそろってて、女の子っぽい可愛い部屋なんですよ。
すごく嬉しいです。感謝なのです!
家の案内が終わると、オルさんとは週末までお別れです。
ちょっと寂しいけれど、新しい生活のワクワクがあるので大丈夫です。
オルさんに心配かけないように頑張らなきゃですね。
「ミラ、何かあったら大声で叫ぶんだぞ!俺には絶対聞こえる!どこにいても聞こえるからな!」
「何を言ってるんですかオル。彼女には無理させませんよ。いいから貴方の仕事に戻ってください」
オルさんの必殺技『過保護』の発動を、薬師様はバッサリと切り捨てます。
さすが薬師様です。
「オルさん、私は大丈夫です。早く村に帰ってください。休みには帰りますから」
「ミラ…無理せず頑張れよ…」
涙目のオルさんの姿が見えなくなるまで見送り、後ろを振り返ると微笑む薬師様がいました。
なぜ…なぜそんなに甘く微笑むのですか!薬師様!
あとこっちを見過ぎです!
私の心臓がバクバクしすぎて、この先心臓がもつか不安です!
「では、ざっくりと仕事の説明をしますね」
「はい。よろしくお願いします」
「ミラさんはお世話係ですが、オルから『色々教えてやってくれ』と言われています。なので、薬師の仕事も手伝ってもらいます」
「はい!」
オルさんは私のために薬師様に言ってくれてたのですね…ちょっと泣きそうです。
「家事は僕もやりますから、一緒に頑張りましょうね」
「そんな!家事は薬師様のお世話係の私が…」
「今まで独り暮らしでしたからね。家事も好きですし。それに…」
薬師様の薄い茶色の瞳にふわりと違う色が見えたかと思うと、唇に笑みを浮かべながら
「その方が新婚さんみたいで、楽しいじゃないですか?」
!?
「ふぇ?ふええええええええっ!?」
「冗談です」
「ふぇぁ!?ちょっ、薬師様!びっくりさせないでください!」
「あはは、ミラさんは面白いですねぇ」
「面白くないです!」
なんて冗談を言うのでしょう!
優しそうな薬師様だと思ったのに、とんだ勘違いだったみたいです!
「ごめんね。でも僕はミラさんに薬師の仕事を主に手伝って欲しいのです。それがミラさんのためだと思うので」
「…わかりました。でも家事はできる限り私がやります」
そこは譲れません!お世話係ですから!
「ふふ、ミラさんも頑固ですね。ではお互い頑張るということで。
とりあえずミラさんの部屋にある荷物を片付けたら僕に声をかけてください」
「わかりました」
お仕事モードに切り替わった薬師様は、綺麗な顔をキリリとさせております。
はぅ、なんだかまた心臓がバクバクと…。
今日は心臓が大変な日です…。
持ってきた荷物は少ないので、片付けはすぐに終わりました。
薬師様に声をかけようと探すと、作業場にいらっしゃいました。
「早いですねミラさん。では薬草の採取をお願いします。
家の周りに生えているキュア草を20束お願いします」
「はい!」
キュア草は広く知られる、傷に効く草です。
私も知ってる薬草なので、ふんすっと気合いを入れて外に出ます。
外でキュア草を探していると、キュンと鳴く声が足元から聞こえます。
「シロさん!」
白いもこふわなシロさんが、私の足に体をスリスリしてます。
可愛いです。可愛いすぎるのです。
「シロさんも一緒に探してくれるのですか?」
「キュン!キュキュン!」
シロさんの鳴き声が返事みたいで、なんだか嬉しくなりました。
可愛いボディガードと一緒に、薬草採取は思ったよりも早く終わりました。
不思議です。
キュア草が生えてる場所が、何となくわかるような気がするのです。
そしてその場所に行くと、必ずキュア草が見つかりました。
私は首を傾げながら、薬師様が待つ家に戻るのでした。