1、やっと決まったお仕事
初書き。初投稿。
書きたい描きたい事を徒然に。
よろしくお願いします。
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皆さんはじめまして。私の名前はミラ、15歳です。
自分の容姿を伝えるのは恥ずかしいのですが、可もなく不可もない(と思いたい)顔に、白すぎる肌に気になっているそばかす、茶色の髪に緑の瞳、伸びない身長と子供体型が悩みです。
まぁ、そばかすについての悩みは、最近解消されつつあるのですが…。
私の住んでいるハルノ村は、村人50人くらいの小さな村で、それぞれの家で酪農や果樹園や野菜畑などを担当しています。
皆さんとても優しくて、お世話になっている村長のオルさん(40代のおじさま)も「困ったことがあれば何でも相談しなさい。無くても話しとか、おおお親子みたいに他愛のない話しでもいい…いいのだよ?」と言ってくれてます。
オルさんは親代わりとして身寄りのない私を引き取ってくれました。
孤児の行く末は酷いことが多いので、私は本当に本当に恵まれてます。
両親がいないのは悲しいけど、周りには優しい人達がたくさんいます。
神様と精霊様に感謝ですね。
私にとって今の生活は、奇跡みたいに幸せなのですから。
神様、精霊様、いつもありがとうございます。
私の1日は、井戸の水汲みから始まります。
台所の水がめがいっぱいになるまでですが、オルさんが私よりさらに早起きしてやってしまってる為、一回しか出来ません。
それから、台所の火おこしです。
鍋に水を入れて火にかけ、朝ごはんの下ごしらえをする…のですが、そこもオルさんが薪割りついでにやってしまってる為、私はお湯が沸いている鍋に材料の投入をするだけです。
オルさん…私に甘い…甘すぎるのですよ…
色々と不満に思いながらも、ご近所からいただいた新鮮な牛乳でミルクスープを作ります。
パンはパン屋さんからいただいた白パンがあるので、肉屋さんからいただいたベーコンもフライパンでジュッと焼いて出すことにします。
こう見てみると、いただきもので生活している怠け者のようですが、オルさんは村長兼学校の先生みたいなことをしているんです。
村の子供達(もちろん私も)一般教養や文字や計算を教えています。
授業料は何でもいいということで、皆さん収穫物をそれぞれ持ってきてくれます。
王都では貨幣を使っているそうですが、ここは小さな村なので物々交換が基本です。
毎日採れたて新鮮な食材をもらえて、得している気分になります。
オルさん先生に感謝と尊敬を……でも、私に甘いのは程々にお願いしたいものです。何だか将来ダメな大人になりそうで怖いです。
朝ごはんのスープやパンをテーブルに並べて、オルさんの部屋のドアをノックします。
「オルさん、朝ごはん出来ましたよ」
「おう、ありがとうミラ」
「オルさん、また水汲みも薪割りもやっちゃったんですね、私の仕事なのに…」
「ついでだ!鍛錬のついでだよ!」
オルさんは難しそうな書類から顔を上げて、ニカッと笑いました。
張りのある短い黒髪に青い瞳、日に焼けた肌は年齢よりも若く見えます。がっしりとした頼り甲斐のありそうな体格も、独身なのが不思議なくらい魅力的です。
小さい時になぜ奥さんを作らないかと聞いたら「ミラが結婚するまで作らない!」と言うので、早く結婚しないとと焦ったら「俺を倒せない奴にミラは渡さん!」と豪語してました。
村で一番…噂ではかなり強いらしいオルさんを倒す人なんて…。私は生涯独身なのかと、子供心に思いました。
それ以来オルさんに奥さんを作れなどと言ってません。言えません。
「私も15です。仕事をしなきゃダメなんですよ?」
「おう、それだそれ。ミラの仕事が決まったぞ」
「へ?」
仕事…?
今までのオルさんの手伝いは?
「ミラが15になって決まったんだが、先方の都合があったから少し遅くなった」
本当は俺は反対なんだとオルさんはブツブツ言ってますが、私はそれよりもオルさんの手伝い以外に仕事なんて思ってもみなかったために、頭の中は大混乱です!
「お、オルさん、私の仕事って…」
「明日、この村に薬師様が来ることになってな、そのお世話係だ」
「く、薬師様が!?」
「薬師様は博識だ。俺は最低限しか学問を教えられないが、勉強の好きなミラならもっと色々知りたいこともあるだろうし…」
「オルさん!!」
オルさんは知ってたのです。
私が色々な本を読みたいと思っていたり、たくさんの事を知りたいと思っていたことを…それを言えなかった事を…。
「頑張れよ、ミラ」
思わず泣きそうになった私の頭を、オルさんは優しく撫でてくれました。