クリスマスとプレゼントの日 後編
前編からみることをお勧めします。
12月24日。まなの自宅。
「メリークリスマス!」
さあやの音頭にゆかり、まな、ちかの三人が声を合わせて言う。
「メリークリスマス!」
今日はクリスマスパーティー。四人で寝泊まりして、25日の昼頃まで過ごす。
それぞれの家族との予定は、まなは特になし、だがこの日の事を両親に話したら銀行の講座に早めのクリスマスプレゼントとしてお金が入っていたという。ありがたく今日の買い物に使わせてもらった。ゆかりは父と弟がおばあちゃんの家に行っています、お正月に話を聞かせてねとおばあちゃんから言われています。さあやとちかの二人は、両親にラブラブクリスマスを、と提案し二人はこちらにたようです。
ゆかりは午後3時頃にはまなの家に来て夕飯の買い物や準備を始めて、さあやとちかは5時頃に到着しちかはご飯の準備を手伝ってくれた。
夕飯といっても、近くのスーパーでクリスマス用のパックやら、加工されたお肉などを買ってきただけなのだが。
飲み物はシャンメリー。マスカット味の甘いノンアルコール炭酸飲料です。
「久しぶりにシャンメリー飲んだわ」
まなは、ワイングラスのシャンメリーをおしゃれに飲む。
「グラスが似合うね、まな」
「おしゃれですね」
ちかやゆかりが持ってもただシャンメリーを持っている様にしか見えないのに、まなが持つとお高いワインのように見える。
さあやはゴクゴクと飲んでいる。一番子供っぽい。
「おかわり!」
「お姉ちゃん・・・。ゆっくり飲んで下さい・・・」
「一応、2つ用意してあるから大丈夫よ。さあやは三杯までね」
「そんなぁ!」
宝物を取られた子供のように嘆くさあやを尻目に、ゆかりは骨付きのお肉を手づかみで食べる。
「おいしい~。骨付き肉っていいよね」
「食レポしてよ、ゆかり」
「えぇ!?」
さあやからの突然の無茶ぶり。
食レポ・・・、食レポかぁ・・・。
「えーっと、ジューシーな柔らかいお肉に・・・は、しっかりと味がついてて・・・、美味しいです!」
「ぜんぜん出来てないですね」
ちかちゃんにダメ出しされた・・・。
肩を落としてお肉をつつくように食べていると、
「そうね。お肉がとても柔らかくて、味もしっかりしているわ。噛むと肉汁が出てきて。骨の近くは特に柔らかくて好きなのよね。美味しいわ」
「あんまり、ゆかりと変わってないような」
「でも、なんかおしゃれですね」
さあやとちかが各々感想を述べる。
「私は子供ですよ~だ」
ふてくされながら、お皿の料理をどんどん食べていく。
お皿の料理もほとんど片付いてきました。
ちかはお腹いっぱいのようで、ご飯にはもう手をつけずにシャンメリーをゆっくり飲んでいる。
「ふぅー、食った食った」
どうやらさあやもお腹いっぱいになったようで、お腹をさすっている。
「それじゃあ、ケーキを出しますか」
「手伝うよ」
まなとゆかりは冷蔵庫からケーキを取り出す。
事前に好みのケーキを聞いておいてある。
ゆかりとちかはモンブラン、まなはミルフィーユ、さあやは苺のショートケーキ。
これをご飯とは別に、夕飯前に買ってきていた。
「お~!ケーキ、ケーキ!」
はしゃぐ、ちか。
「やったぁー!ケーキだぁ!」
同じようにはしゃぐ、さあや。
さすが姉妹。同じ感想を抱くとは。
「子供みたいにはしゃがないの。ちゃんとみんなの分あるから」
ゆかりははしゃぐ姉妹を、お姉さんのようになだめる。
「フォーク持ちながら言っても・・・」
まなに言われ、フォークをテーブルに置く。
皆の笑い声が部屋に響いた。
「モンブラン美味しいですね」
ちかはゆかりの方を見て言う。ゆかりも美味しいねと返す。
「まなのミルフィーユも美味しそうだね」
言われたまなはこちらをみて、フォークに少しのっけると、こちらにそのフォークごと差し出してきた。
「はい、あ~ん」
まなは可愛らしく顔を傾けている。
恥ずかしいけど、嬉しい・・・。
ゆかりは口を開けてそれを食べる。
甘いミルフィーユの味が口の中に広がる。美味しい・・・。
ゆかりが顔を赤くして味わって食べていると、ちかも欲しいようで。
「まなさん、私もミルフィーユ欲しいです」
「ふふふ。はい、あ~ん」
「ありがとうございます!ん~、美味しいです~」
ちかも頬に手を当てて美味しそうに食べている。
「そう、なら良かったわ」
「まなさんもいります?モンブラン」
「ええ、貰えるかしら」
ちかがフォークで少しとってまなのほうに出す。
「はい、あ~ん」
「あ!ちかちゃんずるい!」
食べ終わったゆかりが状況に気付き、自分のモンブランから少しとり、同じくフォークごと差し出す。
「まな、私のも食べて!」
「分かったわ。両方食べるから」
まなはちかの、そしてゆかりのを食べる。
二人とも目を輝かせて、まなの感想を待つ。
「美味しいわ。ありがとう、ちか。ゆかり」
二人は顔を合わせて、頷いた。
「あの~、私は~?」
「さぁ、そろそろプレゼント交換と行きましょうか!」
しっかりとケーキを分けてもらい機嫌を良くしたさあやが仕切る。
先日駅前で、ゆかりとまな、ちかとさあやで、それぞれに渡すプレゼントを買ってきていた。
「それじゃあ、プレゼントをシャッフルするか!」
「私、お姉ちゃんのプレゼントが不安で仕方ないのでそれてもいいですよ」
「ちょっと!?」
「いえ、万が一さあやのプレゼントが私に来たら嫌だから、その提案には乗れないわ」
「まなまで!ゆかりはそんなこと言わないよね?」
さあやは泣きそうな顔で、助けを求めてきた。
「うん。でも、私はまなのプレゼントがほしいから」
「遠回しに否定された~」
リビングのテーブルの上に置かれていた、夕飯やケーキの皿をすべてキッチンの方に片付け、それぞれが渡す人を自分の前に座るようにする。
長方形のテーブルに手前がゆかり、その前にまな。奥に
ちかで、その前がさあや。
テーブルの上にプレゼントを置き、さあやのかけ声で交換する。
「じゃあ。プレゼント交換!」
「はい、まな」
「どうぞ」
「受け取れ!ちか」
「さっさと渡して下さい」
交換が完了すると、さあやが早速開ける。
「普通、確認とったりしますよね」
「あけるよ!ちか」
遅いよ、と言うちかの声など聞こえていないようです。
さあやは袋から取り出した3色ボールペンを見て言った。
「これ、プレゼント?」
「はい。たくさんノートに書いて下さいね」
ちかはケーキを食べていたとき同様、いい笑顔で言った。
「そんなぁ」
「まぁ、理由を知れば当然としか言えないわね」
理由は前編をご覧下さいね。
続いてはちかがプレゼントを開ける。
さあやの顔をちらちらと見ながら不安そうに大きな袋を開けると、中からペンギンのぬいぐるみが出てきた。
「あれ?普通・・・」
「お姉ちゃんを何だと思ってるんだ!」
さあやは心外だとばかりに言った。
「でも、ありがとうごさいます。嬉しいです」
ぬいぐるみを両手で抱えて言う、その顔はとても嬉しそうだ。
さあやも、そこでやめておけばいいのに余計な事を聞く。
「その服とぬいぐるみ、どっちが嬉しい?」
「服ですね」
即答だった。
さあやからすれば単純な興味だったのだろうが、ちかが望み通りの答えを出す訳がない。
ちかが着ているのは、クリスマスプレゼントを買いに行った時にまなに買ってもらった服だ。
詳しくは前編をご覧下さいね。
放心状態のさあやを尻目に、プレゼント開封を続ける。
次はゆかりの番。
「まなからかぁ。何かなぁ」
ちかは、わくわくしながら開封しているであろうゆかりに、妙な違和感を覚えた。
ゆかりは袋を開けると、入っていた手帳を手に持ち、顔の横に置いて、
「わぁ。手帳だ!嬉しいなぁ」
わざとらしすぎる。
まなさんも、なんか驚いてるというか、疑ってるような。
「もしかして、まなさん言っちゃいました?」
「言ってないわ。どうしたの、ゆかり?」
ゆかりがうーんと唸ると、
「直接は聞いてないけどね。まなが、手帳で良かったかしら、って呟いてたのを聞いちゃってね。まさかと・・・」
「まなさ~ん」
ちかがジト目を向けると、まなは慌てたように手を振って、
「仕方ないじゃない!本当に良かったか気になったんだもの」
「自分のプレゼントくらい自信を持ちなさい!」
それにさあやが反応する。
「え?ちかはこれでよかったと思ってるの」
「もちろんです。私はそのボールペンに愛を込めましたから」
さあやは感心したように、ちかぁ・・・と言うと、
「なのでもう私の赤ペンは要りませんよね」
二度と借りに来ないで下さい、とちかが突き放すと今度は悲しそうに、ちかぁ・・・と言った。
「あ、でも、手帳は本当に嬉しいよ。私もまなみたいにスケジュール管理が出来るようになりたいと思ってたしね」
ゆかりは、落ち込むまなを励ますように言った。
「ごめんなさいね、ゆかり。良ければ今度、手帳に今日の感想でも書いて交換しましょう」
「うん。交換日記みたいな感じだね、わかった」
二人は頷き、微笑み合う。
ちかは再び落ち込むさあやを尻目に、次を二人に促す。
「では、まなさんが開ける番ですね」
まなは、袋を開けて中身を出す。
「これは、料理本かしら。ありがとう、たくさん料理を作るわ」
「うん。私が味見役になるから、いつでも言ってね」
「えぇ、ゆかりのために毎日お味噌汁を作るわ」
「あはは、なにそれ」
まなの渾身のボケだったのだろうが、ゆかりには通じなかったようだ。
突っ込みたい、すごく突っ込みたい。
ちかはそう思いながらも触れないであげた。
あれでいいんたろう、二人は。
「なんというか、これでいいんだろうか交換会でしたね」
ちかが、思っていたことを口にした。
ぬいぐるみがプレゼントとして一番まともだったんじゃないだろうか。
ちかは思っても口にしない。
姉をほめたくない。絶対調子に乗るから。
「私は楽しかったよ」
「ゆかりさんはいつでも楽しんでますよね」
「私も楽しかったわ」
「ゆかりさんがいれば楽しみますよね、いつでも」
「私は不愉快でした」
「・・・・・・」
「せめて何か返して!」
「まぁ、それはともかく、そろそろお風呂に入りませんか?」
時間もそろそろ9時だ。ちかたちはこれくらいの時間にお風呂に入っている。
「そうだね、誰から入る?」
ゆかりの提案にちかは待ったをかけた。
「ゆかりさん、良ければ私と入りませんか?」
ガタッとまなが立ち上がったが、それを無視して続ける。
「まなさんとはそれなりにお話ししてますが、ゆかりさんとはあまりお話ししてないなぁと思ったので。どうですかね?」
「うん、いいよ。私ももっとちかちゃんと仲良くなりたいから」
ゆかりさんは本当に優しいなぁ。まなさんの目が怖いけど。
二人が一緒に入る約束をすると、それを羨ましげに眺めている人が。
「まな。私と・・・」
「ええ。そうしましょう」
「いや、まだ途中までしか言ってないのに断らないで・・・、え?いいの?」
予想外の反応にさあやは驚いている。
え?え?と周りを見渡すさあや。
「私をなんだと思ってるのよ・・・」
というわけで、お風呂に入ることとなったゆかりとちか。
きれいな洗面所で二人一緒に服を脱ぐ。
ちかはそんなゆかりの体を見つめている。
「どうしたの?」
ゆかりがそう聞くとちかは、ゆかりの右脇から腰にかけてを指先でなぞった。
「ひゃあぁ」
ゆかりがくすぐったいと身をよじると、ちかは感想を言った。
「可愛らしい声ですね。というか、肌きれいですね」
ちかはゆかりのお腹や腕、太ももを凝視しながら撫でるように触れる。
「ちかちゃん・・・。くすぐったい・・・」
「あ、すいません。あまりにも魅力的だったので」
もう・・・、とゆかりは顔を赤くしている。
まなさんが惚れるのも分かるなぁ。明るいし、可愛いし。
ちかは以前、まなからゆかりのどこが好きなのかを聞いていた。
まなは、明るいところ、すぐ顔を赤くするところ、におい、声、などなど。と言っていた。
まぁ、いろんなところが好きなのだろうが、それだけの魅力がゆかりさんにはあるのだろう。いや、ある。
運動系なお姉ちゃん、知的なお姉さん。もう1人、新しい私のお姉様が出来る。
ちかはそんなつもりでお風呂にゆかりを誘った。
あと、まなさんへの好意についても聞き出そう。甘えたら教えてくれるはず。
そんなことなどつゆ知らず、ゆかりはちかの髪をブラシで梳いてくれる。
「こうすると、シャワーの時髪を濡らしやすくなるんだって」
そして、裸になったゆかりはお風呂に入る。それに次いでちかもお風呂に入る。
ゆかりは手慣れたようにシャワーからお湯を出すと、私にイスに座るように促した。
「頭洗ってあげるよ、ちかちゃん」
「はい。おねがいします」
ゆかりさん、楽しそうだなぁ。
ちかもそんなゆかりさんにつられて笑顔になる。
ゆかりはシャワーが熱くないかを確認すると、後ろからまず足にお湯をかけた。
「熱くない?」
「はい、大丈夫ですよ」
ゆかりはちかの背中にシャワーをかけてから、確認をとり、頭ににシャワーをかけた。
ちかの、少し茶色の入った黒髪を、泡のついた手のひらでマッサージするように優しく洗う。
ちかは目を閉じて、されるがままになる。
「ゆかりさん、シャンプー上手ですね」
暖かい手で、程良い力加減で洗ってくれる。
「そう?ありがとう」
目を閉じてるから見えないけど、ゆかりさんの笑顔が簡単に想像出来た。
ゆっくりとしたシャンプー、そしてリンスを手早く終わらせると、洗い流してタオルでぽんぽんと拭いてくれた。
タオル越しでも手のひらから暖かさが伝わってくる。これが優しさかぁ・・・。
「今度は私がゆかりさんの頭を洗います」
「うん。よろしくね」
ゆかりはイスにすわる。
ちかは、ゆかりの後ろに立ちゆかりがしてくれたのを思い出しながら、繰り返す。
「ちかちゃんも上手だよ」
「ゆかりさんの真似してるだけですよ」
セミロングのゆかりのシャンプーは先ほどよりも短い時間で終わり、タオルで簡単に拭くと、ちかはボディソープの位置をゆかりに聞いた。
「これだよ」
目を開けたゆかりが指差して教えてくれる。にしても、
「手慣れてますね、ゆかりさん。何回くらいここのお風呂に入ったんですか?」
ちかはシャワーでもう一度体を濡らす。
「何回だろう?1ヶ月に2回は来てるから、10回くらいかな」
ゆかりは純粋に、特に他意などなく質問に答える。
「何回くらい、まなさんと一緒に入りました?」
すると、ゆかりは鏡越しに合わせていた目をそらす。
「ま、毎回?」
「何かされてますよね、絶対」
あの人がなにもしない訳がない。
ちかはそう確信し、聞いた。
そしてそれは多分・・・。
「こんな感じですか?」
ちかは手にボディソープをつけ簡単に泡立てると、ゆかりを後ろから、脇の下から腕を通して抱きしめて、胸とお腹を洗うように揉む。
「きゃあ!ちかちゃん!」
「くふふ、やっぱり可愛いです。ゆかりお姉様」
ちかは、頭をゆかりの耳の横に、肩に乗っかるようにすると、鏡に悪戯な笑みが映った。
ゆかりのしっかりと成長した胸は、まなのとなりにいるから目立たないけど、しっかりと成長しているのだろう。女性らしい膨らみは確かにあり、とても柔らかい。
お腹もすべすべしていて、ボディソープでなぞると、つぅーと指がすべる。楽しい。
「ちかちゃん・・・、ストップ・・・」
ゆかりの声に艶っぽさが出始めたとき、
「ちょっと待ったぁ!」
大声と共にお風呂場のドアが開けられた。
そこには、なぜか裸のさあやとまな。
「お姉ちゃん!ちょっと、何して?」
「二人で楽しくなんて許さないぞ!ね、姉御!」
そう言って、さあやはお風呂場に入ってきて、道を空けるように横に移動する。
姉御呼びされたまなはまっすぐお風呂場に入り、ドアを閉める。
さすがに四人でお風呂に入るにはせますぎるのだが、そんなこと二人は気にしていない様子。
「え?どうして二人が入ってきたの?」
状況が飲み込めていないゆかりに、まなが説明する。
今から数分前。
リビングでは、ゆかりとさあやが話を、いや会議をしていた。
題材はお風呂をどうするか。このまま二人で入るのか?それとも1人ずつ入るのか?ということである。
先ほどは一緒に入ると言っていたまなからの議題に、さあやはノリで参加した。
そして出た結論。
今四人で入ればいいじゃん。
「と、いうわけよ」
「え?ええ?」
それでもゆかりは混乱している様子。
まなはまず、ちかに体を洗うのを早く終わらせるように言った。そして、それが終わるとゆかりにちかの体を洗わせるように言い、その通りに動いた。
そうしてなんだかんだと全員が体を洗い終わると、全員で湯船に入った。
「いや、せまい!」
ちかが待ってましたといわんばかりに突っ込んだ。
まなが仕切っている最中は、全然しゃべらせてもらえなかったからだ。
それにしてもせまい。ゆかりは湯船の縁に座って足湯みたいになってる。
「じゃあ、まずさあやが出なさい」
「何で、私!?」
「不遇担当だからよ」
まながそんなことを言うと、さあやはしぶしぶ湯船から出た。
「まぁ、私そんなに長く入らないからいいけど・・・」
そして、ゆかりに湯船に入るよう促した。
「ありがとう、さあや」
ゆかりは湯船に入ると、せまそうにしているものの、楽しそうだ。
「なんか、昔を思い出すなぁ。小さい頃は家族で入ってたっけ」
まだ体が小さいからこんなに窮屈じゃなかったと思うけど。
「そういえば私たちも一緒にはいってましたね」
ちかはシャワーを浴びてるさあやに言う。
「そうだね。よく遊んで怒られたっけ。あばれるな!って」
笑いながらお風呂に入っていると、みんな窮屈で長くは入りたくはなかったのか、早めに出ることになった。
洗面所が混むので、さあや、ちか、まな、ゆかりの順番で出て着替えた。
そして、ちかは着替えている時に思い出した。
「あ、ゆかりさんに好きなところ聞けなかった」
でもまぁ、とちかは手を自分の胸に当て、思う。
柔らかかったし、いいか。
お風呂から出た後、トランプで遊んだり談笑したりしていると、時間は23時頃になっていた。
四人は寝室に布団をひいてそこに二人、ベッドに二人で寝ることにした。
その並びは、当然のようにゆかりとまな、ちかとさあやだ。
「明日は何しましょうか?」
ちかが、ベッドの上の二人に聞くと、ゆかりから返事が帰ってきた。
「普通に朝過ごして、昼までゆっくり。かな?」
「まぁ、そんな感じでいいですかね」
ちかは眠くなったようであくびをする。
気になって隣をみると、さあやはすでに寝ていた。
ちかは、さあやを起こさないように布団を出ると、ベッドに入った。
「ちかちゃん?」
布団側にはゆかりが眠っていました。
「ゆかりさん、暖かいです」
ちかは頭までベッドに入り、暗い中でゆかりを見る。
ゆかりは白いフリルのついたパジャマを着ている。
「そういえば、下着も白でフリルでしたね?」
「そ、そうだね。ちかちゃん、ズボン下げようとするの止めて・・・」
ちかが大胆になってる。とゆかりはなんとかちかをなだめようとするのだが、ちかは止まらない。
「ちか。ベッドでいいから、早く寝なさい」
まながそう言うと、ちかはシーツの中から出てきてゆかりに抱きつくように眠りについた。
ゆかりもそれ以上引き剥がそうとはせず、そのまま眠る。
もしかして、人肌が恋しいのかな?とゆかりは思っていた。
ちかはもう中学生だ。親とくっついて寝るなんてことしなくなっただろう。私のこと暖かいとしきりに言っていたし、もしかしたら。
もちろん、そんなことはなく。
すぅ・・・。ゆかりさん、いい匂い。抱きついても怒られない。優しすぎるなぁ。多分勘違いしてるだろうけど。
そこまで分かっていてやっているのだ。
ただ分からなかったのは、まなが何もしてこない。
さっきはこれからというタイミングで入ってきたし、また邪魔されるのかと思ってたけど。
まなは、仰向けで寝ているゆかりの手をしっかりと握っていた。
まなにとってはそれだけで幸福だった。クリスマスに一緒にいられる。
そして、朝起きたら眠るゆかりにキスをして、私がクリスマスプレゼントよって。
まなはニヤニヤとしながら、ちかは抱きつきながら寝ている。
それに挟まれたゆかりは、結構幸せそうでした。
なんだかんだクリスマスに恋人と寝られてます。握る手から熱が伝わって、また、熱が入ってきて。
ゆかりには姉妹がいないので、ちかのように甘えてくる妹はとても欲しかったのです。だから、においを嗅ぐのはちょっとやめて欲しいけど、体の暖かさには、差し引いても余りあるくらいのものがある。
さあやが可哀想だけど、1人で大丈夫かな。
朝、一人起きたゆかりは、ベッドですやすやと眠るちかとまなを見ました。
そして、なぜか寝ていた時と頭の位置が反対になっているさあやが床で眠っていました。
ゆかりは二人を起こさないようにベッドから抜け出して、さあやに寒くないよう布団をかけようとした。
「ゆかり?」
「あ・・・、起こしちゃった?」
まなが起きてしまいました。
ゆかりは寝てて良いよ、と起き上がろうとするまなの肩を押さえると、まなはゆかりの腕を引っ張って、抱きしめる。
「メリークリスマス・・・。はい、サンタさんからプレゼント」
まなは目を閉じ、抱きしめる勢いそのままにキスをしてきた。
クリスマスだからかな。いつもより嬉しい・・・。
ゆかりはまなに乗っかって、まなが離した唇に、まだくっついていたいと自分からキスをする。
起きれないなぁ・・・。まぁ、起きて混ざっても面白そうだけど。
そう思ったちかは、ガバッと起き上がり、
「ゆかりさん、まなさん。メリークリスマス!」
キスする二人に抱きついた。
「むぐぅ!」
ゆかりさんが変な声だしてるけど、気にしない!
ちかが大声を出したからか、さあやも起きてくる。
「むにゅ・・・。ふぁ~。ん?お前ら・・・」
さあやは状況を確認すると、目を輝かせすぐに起き上がった。
「私も混ぜろ!」
さあやはベッドに飛び込んできた。
まなが下に押しつぶされ、私はまなの上に。ちかは横からふたりに抱きつき、さあやが全員に重なるように飛びついてきた。
「ちょっと、何なのよ!?」
「あはは。みんな暖かいね」
「私だけ除け者にして~」
「だってお姉ちゃん寝相悪いんだもん」
「熱いのだけれど・・・」
「ちかちゃん、重くない?」
「大丈夫ですよ」
「私は・・・?」
「みんなずるいぞー」
「しつこいです」
「ひゃはは!胸揉むなちか!」
「早く降りなさい!」
この後、まなに怒られました。
みんな笑って怒られてました。
そうして、ゆっくりと朝ご飯を食べて、のんびりと過ごした四人。
来年もこんな風にすごせたらいいなぁ。とゆかりはまだ終わっていないクリスマスの感想を抱きつつみんなを眺めていると、ちかがまなに話しかけていた。
別にそれだけなら普通なのだが、ちかの顔色にはどこか、いつものような笑みは無く、申し訳なさそうな感じだ。
「お二人・・・、ゆかりさんと今日何か予定はありますか?」
「いえ。特にないわ」
まなはイスに座り、コーヒー片手に答えた。
一応、ゆかりはもう一晩泊まるつもりでいるが、どこかに行ったりはしない。ゆっくり過ごすつもりだ。
「なら、もしよければ、ですが・・・」
ちかはそこで一度止める。どこか言いづらそうな感じだ。
ゆかりには、ちかが何を言おうとしているのか分かったのだが、あえて自分からは言わず、ちかの言葉を待った。
さあやも、どうしたのかとちかの方を見ている。
「よければ・・・、私・・・たちも泊めてくれませんか?」
元々ちかたちが帰った後は、ゆかりとまなの二人っきりで過ごす予定ではあった。だから、それを邪魔してしまうのが怖かったのだろう。ちかは顔を伏せ、少しおびえた様子で答えを待っている。
まなは一度息を吐くと、コーヒーをテーブルに置き、ちかに微笑んだ。
「ええ。もちろんいいわよ。ちゃんとご両親に連絡しなさい」
ちかは顔を上げる。先程とは一変して隠しきれない笑みを隠すことなく表に出す。
「ありがとうごさいます!まなさん大好きです!」
ちかはまなに抱きつく。
「こら、離れなさい」
と言いつつ、まなの顔は嬉しそうだ。
ゆかりもそんな二人に見て、微笑む。
さあやは手元で携帯をいじると、ちかの方を見て、
「一応ママには連絡しといたよ。まぁ、ダメってことはないだろうけどね」
その予想通り、数分後さあやたちの母親から返信が来て、迷惑をかけないように、とのことでした。
そうしてもう1日。楽しく過ごすとあっという間に夜、そして朝に。
またご飯作ったり、お風呂入ったり、一緒に寝たり。
最高のクリスマスプレゼントをたくさんもらえたと思っているのは、きっとゆかりだけではないだろう。
年明けはみんな予定があるので会えないけど、またまなの家で思い出話でもしよう。
来年はちかちゃんも高校生だから、勉強もみてあげなきゃ。遊園地も行きたいなぁ。また、四人で。
最後の数秒まで一緒にいると、ちかとさあやの二人は先に帰っていった。
ゆかりも、それに次いでまなにさよならする。
「それじゃあ、次会うのは年明けかな」
ゆかりは明日、おばあちゃんの家に行く。
「ええ。だから・・・、ゆかり。年明けまで元気に過ごすために、ゆかりのパワーを頂戴・・・」
「もう。しかたないなぁ」
ゆかりは目を閉じるまなに、そっと抱きしめキスをした。
最後は二人とも笑ってバイバイした。
その後。
「お姉ちゃん」
「どうしたの?ちか」
「ありがとうございます。ぬいぐるみ。嬉しかったです」
「なんだよ、改まって」
ちかは少し顔をあかくしているのだが、背の高いさあやからは伏せているちかの顔をみることが出来なかった。
ちかも、見られないようにしているのだが。
「あぁ。ボールペンのこと?嬉しかったよ。気にしなくても」
どうやらさあやは、ちかがボールペンをプレゼントしたことを気にしているのかと思ったようだ。
「いえ。それは気にしてません」
「あれ?違うの?」
ちかはため息をつくと、さあやに目を閉じるように言った。
ちかは目を閉じていることを確認すると、背伸びして、背伸びして・・・。
ざんねん!背がたりない!
さあやは目を少し開けると、顔を赤くしたちかが背伸びして、チューをしようとしていた。
だが、あまりにもさあやが高すぎて、背伸びしても唇まで届かなかったようだ。
さあやは少し屈んでやる。
ちかは目を開けているさあやに少しふくれるも、
「お姉ちゃん。大好きです」
そう言って、キスをした。
みんなもらったものは違ったけど、それでも最高のクリスマスだったことには変わらないだろう。
だから、サンタクロースに願うことはただ一つ。
来年も最高のクリスマスが過ごせますように。




