サプライズ砂時計。
私は友達に勧められて自転車で旅に出た。
そして、偶然立ち寄った閑散としていた商店街で、私は「サプライズ砂時計」というものを買った。注意書を見ると「使うと良いことがあるかもしれません。大切に使ってください」と書いてあった。
どこからどうみても普通の砂時計だ。何か仕掛けがある感じでもない。
サプライズとつけたのは観光客にアピールして買わせたいからなのだろう。
最初見た時、買おうとは思わなかった。
でも帰り際、なんだかあの砂時計が気になってしまい、結局買ってしまった。
家に帰った後、私は部屋の片隅にある本棚に買った砂時計を置いた。
今を生きる私達にとって、この世界は便利なもので溢れている。
だから、現代社会で砂時計を使う機会は無いに等しい。
いつしか私は砂時計のことを忘れていた。
あれから4年が過ぎた。
時間が過ぎるのは本当に早い。
あっという間に過ぎ去ったような気がする。
この4年間、自分にウソをつきながら生きてきた。
だからなのか、とても疲れた。
私は地元に帰るために引っ越しの準備をしていた。
本棚にしまった本をダンボールに入れてた時、ホコリを被った砂時計に気がついた。
そういえばこの砂時計、買って本棚に置いてからそのままになっていた。
ホコリを拭こうとした時、ふと思った。
注意書に書いてあった「使ったら良いことがあるかも」というのはどういうことなのだろうか。
もしかして本当に何かおこるのだろうか?
私はこの疑問を解決するために砂時計を逆さまにして使ってみた。
黄金色の綺麗な砂がサラサラと落ちていく。
置いたままだった砂時計がゆっくりと時を刻みだした。
その時だ。
「ピンポーン!」
玄関のチャイムがなった。
ドアを開けると地元の同級生が立っていた。
どうやら私の家に遊びに来たらしい。
彼は私にイチゴのショートケーキを見せながらこう言った。
「誕生日おめでとう!」と。
その時、私は忘れていた大切なことに気がついた。
今日は私の誕生日だ。
後ろを振り向くと、砂時計がしっかりと時を刻んでいた。