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始まりの種

旧約聖書『創世記』によると、アダムの創造後実のなる植物が創造された。アダムはエデンの園に置かれるが、そこにはあらゆる種類の木があり、その中央には命の木と善悪の知識の木と呼ばれる2本の木があった。それらの木は全て食用に適した実をならせたが、主なるエホバ神はアダムに対し善悪の知識の実だけは食べてはならないと命令した。(創世記より)








初めまして、ボクの気まぐれの傍観者に選ばれた人間さん。

ボクは・・・キミたちに分かりやすい言葉で言うなら「神様」ってところかな?


ボクは今の人間たちが嫌いでさ


だからいっそみんな壊して作り直そうと思うんだ?


でも、最後に愚かな人間たちにチャンスをあげるよ。


人類・・・否、全ての生物の命運を握る主役達の活躍をお目にかけよう―――





――眩しい…もう朝なのか


えっと昨日は本屋に寄って帰ってから…楽しみにしていた新刊読んで…

ああ、僕そのまま寝ちゃったんだよな…まだ眠い、な…


「おい、起きろよ。」


…兄さんが起こしに来たのか。


「起きろって。」


兄さん…もう少し寝かせ…兄さんの声じゃない!


とんとんと叩かれる床の音に飛び起き、回らない頭を必死に叩き起こした。


「…誰?」


「誰?じゃねぇよ、お前だけだぜ起きてないのは。」



周りを見回すと、僕のほかに3人の女の子…と僕と同じくらいの男子が2人。

中学生くらいの少年と、人形を抱いた少女。


場所…はプレハブ小屋のようだけど窓もドアも無い。あるのは小さな通機構と1つの鉢植えだった。


「お前、名前は?」


「え…あ…、僕?」


「そうだよ。てか全員自己紹介しようぜ。あとこの状況について知ってることあったら話してくれよ。情報の共有ってやつ?」


「じゃ、じゃあ僕から…岩戸 千里、千の里でセンリ。悪い、状況についてはまったくわからない。」


「だよなー、俺は石川 仁。同じく状況はわかんねー。」


僕を起こしてくれた男は頭をガシガシと掻きながら座り込み落胆しているようだった。


「鹿島 夏、お前らとたぶん同じで起きたらココに居た。」


ぶっきらぼうに言い放つ男も同じように座り込み、女の子たちも近寄ってきて続く。


「三井 香織、私もまったくわからないけどドッキリか何か?そんなのされる覚えないんだけど。」


「私は篠原 美琴です、気づいたらココにいたので…お役に立てないですいません。」


「寺子 椛と申します。私も起きたら…申し訳ないのですがお力にはなれないようです…。」


女の子たちも自己紹介を続けてくれるが、やはりみんな状況についてはまったくわからないらしい。

みんな学校も違うし面識も無い。


「おい、ちびっこ2人は名前なんていうん?」


少し離れて立っていた小学生くらいの2人を仁が呼び円に加える。


「六式 姫奈、10歳です。」


きゅっと抱いていたひよこの人形に顔を隠してしまった少女。


「姫奈ちゃんも起きたらここにいた感じかな?誰かに連れてこられたとか、そういうのわかるかなー?」


美琴と名乗った女の子が目線を合わすように姫奈の前にしゃがみ問いかけるが、首を横に振るだけでやはり状況はわからないらしい。


「僕は末霧 良人です。良い人って書いてイトです。13歳になりました。」


にこにこと笑顔の少年。

外人かな?色素の薄い髪と瞳、しかし流暢な日本語で僕も状況はわかりませんという言葉を続けた。


全員、状況不明で気づいたらココに居たということくらいしか共通点らしい共通点も無い。

集団誘拐…にしては、この人数が寝静まってから気づかないうちに連れてこられたっていうのも不可解だ。


金銭目的で誘拐するなら、裕福な家の子一人を誘拐するほうが手間も掛からない。


人身売買?人身売買なら小さい子供とか女の子ばかりのほうが…


うーん、うーんと頭を悩ませてるのは僕だけじゃないらしい。

みんなそれぞれに悩んでるのは間違い無い。少なからず言葉も交わして情報交換もしているが結論は出ないようだ。


とりあえずココを出れば何かわかるかもしれない。


「「皆さん」の状況はわかりませんが、これからどうすれば良いかはわかりますよ。」


にこにこと笑顔を浮かべていた少年が決して大きくは無いがすっと耳に入ってくる不思議な声色で呟いた一言に何か違和感を感じた気がしたが、それよりも呟いた内容のインパクトが強すぎて。

誰も、その違和感を気に留めることは無かった―――

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